「建物を増築して二世帯住宅にした場合」に得られる節税効果

前回までは、「子世帯のみが住宅ローンを使って二世帯住宅を建てた場合」のメリットについて紹介しました。今回は、「建物を増築して二世帯住宅を建てた場合」について説明します。どういった節税効果が得られるのか、注意点は何か、具体例を交えて見ていきましょう。

増築により二世帯住宅を建てる場合は贈与税に注意

既存の建物を増築して二世帯住宅を建てるパターンについて見てみましょう。

 

(ケース)

Aさんの親は一戸建て住宅に住んでいます。Aさんはこの家を二世帯住宅にして両親と同居しようと考えていますが、予算が限られているため、増築という形で実現しようと考えています。

 

このケースのように増築により二世帯住宅を建てる場合には、贈与税に対する注意が必要となります。単に増築といっても、いろいろな形があります。たとえば建築基準法では、母屋の敷地内に母屋と接続しない離れとして新築する場合も増築といいます。今回は二世帯住宅なので、柱などの構造を共有することになる建物の工事を増築と考えます。この場合も2つのケースがあります。

 

(1)増築した部分が構造上も利用上も一つの建物と認定することが可能な場合

(2)(1)以外

 

(1)はどういうことかというと、既存建物に足を踏み入れることなく、増築部分のみで出入りして独立して生活できるような場合です。増築部分を息子の名義で登記することに問題はありません。注意すべきなのは(2)の場合です。トイレ、風呂、キッチンを共用で使うことにして、部屋のみ増築して二世帯住宅として生活することにした場合、増築部分は民法でいうところの「附合」が生じたことになります。

 

わかりやすく説明すると、増築した部分も、既存建物の所有者である父親の名義になるということです。お金を出しているのが息子でも名義は父のものとなるので、親はAさんから増築部分の贈与を受けたこととなり、親に贈与税が課税されることになるのです。

対策をすれば「住宅ローン控除」の適用を受けられる

このような親に贈与税の負担が生じる事態を避けたいのであれば、以下のような対策をとることが必要となります。

 

(1)親の建物を子どもに贈与して、所有権を子どもに移してから増築を行う。

(2)子が支払った増築資金に相当する建物の持分を親から子へ移転させて共有とする(ただし、この場合、親は増築後の建物の持分の一部を子どもに譲渡したことになるため、譲渡所得として所得税が課税される場合があります。なお、この場合、マイホームを売った時の特別控除の特例は適用されません)。

 

また、これらの対策を講じておけば、子が金融機関から増築資金の融資を受け、住宅ローンについて住宅借入金特別控除(住宅ローン控除)の適用を受けることも可能となります。

本連載は、2015年7月30日刊行の書籍『親子で進める二世帯住宅節税』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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税理士法人 斎藤会計事務所  所長

税理士。
税理士法人斎藤会計事務所所長。1998年の事務所開業直後から会社設立支援に力を入れ、創業・融資・事業拡大と100社を超える経営計画のサポートを行う。近年は高齢の親を持つ子世代を対象にしたWebサイト「オヤノコト.net」で自らの体験を生かした相続人向けの相続について連載。著書に『独立を考えた時に読む本2002』『独立を考えた時に読む本2002―Ⅱ』(日経BP社)記事執筆、『相続の現場55例』(ダイヤモンド社)など。相続税対策セミナーも多数開催。

著者紹介

親子で進める二世帯住宅節税

親子で進める二世帯住宅節税

斎藤 英一

幻冬舎メディアコンサルティング

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