少子高齢化社会を迎えている状況の日本は、すでに死亡者数が出生者数を上回るという人口の自然減が始まっています。人口が減り、家あまりの状態の中、不動産ニーズを見るポイントについて見ていきたいと思います。

人口の流出入から不動産ニーズを推察する

現在の日本は、死亡者数が出生者数を上回っています。住宅の総数が世帯数を上回る〝家あまり〞の状態であることを第1回目で説明しました。とはいえ、人口は一律に減少しているわけではありません。東京には「億」を超える住宅がゴロゴロ存在している反面、地方には過疎化の進行で限界集落も発生しています。

 

人口動態に伴ってマンション・住宅に対するニーズは大きく変化します。少子化で子どもの数は減少していますが、人口の流出入を都道府県別に見ると、若者世代や住宅購入世代が多く流入している地域もあります。当然のことながら、流入が多い地域は住宅の需要も高くなります。総務省が発表している住民基本台帳を参考に、年齢ごとに人の動きについて見てみることにしましょう。

 

まず、20〜24歳。この年代は進学や就職の時期であり、多くの人が移動します。流入先として最も多いのが東京で、神奈川、千葉、埼玉などの近郊の都市もぐっと増えます。そんな首都圏に、愛知、京都、大阪などの大都市圏が続いています。逆に、人が流出しているのは青森県、岩手県、秋田県、島根県、長崎県、宮崎県、鹿児島県など。東北と九州地方に集中しているのがわかります。

 

続く25〜29歳ではどうなるでしょう? この年代で流入が増えているのは東京、神奈川、愛知です。就職にともなう転勤なども多く、関西なら京都や大阪、首都圏では埼玉、千葉などで減少に転じていることになります。

 

さらに、30〜40歳代を見てみるとどうでしょう? この年齢は一般的に結婚や出産などの時期となり、人口の移動は少なくなります。そんななかでも流入が増えているのが大阪・京都のベッドタウンである滋賀県と、東京のベッドタウンである千葉県です。東京や大阪などへ通うのが容易で、比較的安く住宅が購入できることから流入が増えていると考えられます。

 

50歳を過ぎるとさらに人口の移動は少なくなります。ほとんどの人は移動を終え、あとは特定の地域に住み続ける人が多いのだと考えられます。そんな中でも、東京都は60歳代で流出傾向となります。定年退職後に大都会を離れて自然の中でのんびり生活したいというニーズがあるのかもしれません。

 

人が移動した先に住宅ニーズが生まれる

ここまで見てきてわかるように地域や年代によって、人口の増減率には大きな違いがあります。人が移動すれば、当然その先の地域には住宅ニーズが生じることになります。つまり、どの世代が流入によって増加するかで、住宅の広さや分譲・賃貸の種別などのニーズについても推察することができるというわけです。

 

人口が減って「家あまり」の状態とはいえ、まだまだこうしたさまざまな住宅需要はあるのです。まずは各地域における居住者の実態を把握することから、潜在化している住宅ニーズをある程度、顕在化できることも少なくありません。不動産投資では、こうした各種データを分析することは、社会が今後どのように変化していくのかを予測することにもつながります。

 

 

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    本連載は、2013年8月25日刊行の書籍『なぜ医者は不動産投資に向いているのか?』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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