将来的に不動産に「医療」という付加価値をつける前提であれば、一般とは違う視点で物件を選ぶことができます。

高まる「医療サービスが受けられる住宅」への需要

後から医療サービスを提供することを前提に不動産へ投資する――。では、具体的にどのような医療サービスが考えられるのでしょう?

 

最近、注目を集めている賃貸物件のひとつに、住居であると同時に医療サービスなども提供するサービス付き高齢者向け住宅、いわゆる「サ高住」というものがあります。

 

これは、マンションなどの住居でありながら、医療や介護などのサービスも提供する賃貸住宅のことです。特別養護老人ホームの不足により入居待ちが続くなど、高齢者向けの住宅提供がままならない中、民間によるこのような住宅供給が推進されているのです。

 

もちろん、高齢者がいわゆる〝終の住み処〞として暮らすうえでも、オーナーが医師であり、きちんとした医療サービスを受けることができる住宅は安心です。そうした人たちは、たとえ都市部でなくても、交通アクセスがそれほど便利ではなくても、医療サービスを提供してくれる家に住みたいと思う傾向にあります。

 

近年の日本の住宅市場は家あまり状態ですが、高齢者は今後数十年にわたって増え続けます。そしてその一方で高齢者向けの住宅は不足が続いています。現在「サ高住」は注目を集めていて、ホテルライクで豪華なものからお手軽なアパートタイプのものまで、各地に続々と誕生しているのです。

 

今後は、医療や介護はもちろん、さまざまな生活サービスまで含めたサービスを提供することで、入居者の生活の質を高める工夫が求められることでしょう。そうした医療を中心とした複合的なサービスと不動産という箱が結びつきこそが医師だからこそできる不動産投資なのです。

 

医師が所有すべき不動産は、都市部とは限らない

不動産を購入するとなると、やはり避けたいのは空室というリスク。ですから、誰だって多くの人が集まる都市部の方が有利だと考えるものです。

 

確かに、一般的に不動産の価値というのは田舎よりも都市部の方が高く、さらに駅など公共交通機関のアクセスが良い場所ほど人気があります。このような、誰にとっても価値がある不動産は投資対象としてもチャンスであることは間違いありません。

 

ただし、あなたは医師です。将来的にその不動産をどう使うか、ということをメインに考えれば、必ずしもこうした誰もが欲しがるような物件を投資のターゲットとする必要はないのです。

 

たとえばあなたが将来的に医院を開業するにあたって、それは駅前である必要がありますか?

むしろ、人が多く住んでいる住宅街の方がいいのではないでしょうか?

あるいは、車での移動がメインの地域なら幹線道路沿いの方がいいのでは?

 

つまり、医師が将来的に不動産に医療という付加価値をつける前提であれば、一般的な不動産の価値とは少し違う視点で物件を選ぶことができるというわけです。これは限られた医師という職業だからこそ可能な投資法なのです。

 

さらに、その地域に医師が多いかどうか、という点も見逃せません。

 

日本で最も人口当たりの医師が多いのは京都府で、人口10万人あたり286人、2位が東京都で285人、3位が徳島県で283人です。逆に少ないのは1位が埼玉県で142人、2位が茨城県で158人、3位が千葉県で164人となっています。最も多い京都と最も少ない埼玉では倍以上の開きがあるというわけです。

 

確かに都道府県といっても広いので、一概に不動産を購入した地域に医院が多いか少ないかというのとは異なりますが、それでもひとつの指標にはなるでしょう。

 

 

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    本連載は、2013年8月25日刊行の書籍『なぜ医者は不動産投資に向いているのか?』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    なぜ医者は 不動産投資に向いているのか?

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    大山 一也

    幻冬舎メディアコンサルティング

    高齢化する日本社会で国庫支出の医療費は逼迫し、患者数は増加の一途。特に勤務医などは激務が続く。30代後半の勤務医の平均年収は2000万とも言われるが、税引き後の手取りは900万とも。さらに医療訴訟とは常に背中合わせ、つ…

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