相続争いを防ぐための「遺言」の効果的な活用方法

今回は、相続争いを防ぐための「遺言」の効果的な活用方法を説明します。※本連載は、税理士・田中潤氏著『きっと今までになかった相続の権利調整を考える本』(メディアパル)から一部を抜粋し、相続を円滑に進める「権利調整」について、分かりやすく解説します。

遺言では被相続人の「意志」が優先されるが・・・

被相続人が遺言で、ある人に法定相続分以上に自分の財産を相続させるような意志を残せば、当然他の相続人は自分のもらえる財産が法定相続分より減ることになります。

 

この場合、被相続人の意志としての遺言が優先されますが、それだけですべてを決めることはできません。相続すべき財産を減らされた相続人も法定相続分の1/2(直系尊属のみの場合は1/3)はもらう権利があります。これが遺留分です。

 

ところで、相続が起きた際、亡くなった人の配偶者の他に子がいない場合には、法定相続人となるのは配偶者と亡くなった人の直系尊属である親ということになるわけですが、両親も既に亡くなっていることも多く、その時は亡くなった人の兄弟姉妹が配偶者とともに法定相続人となります。

 

法定相続分は配偶者3/4、兄弟姉妹1/4となります。その時、割合以上に問題となるのは、配偶者が財産の処分について、自分の自由にできなくなるということです。つまり、兄弟姉妹と遺産分割協議をしなければならなくなるわけです。

「配偶者に全財産を相続させる」と書き残す

こうした場合、それ迄ほとんど交流のなかった人が急にクローズアップされることも多く、相続の争いが起こることも少なくありません(被相続人の親と養子縁組をした人でも、兄弟として相続人になります)。

 

こうした場合に決定的に有効なのが、遺言で「配偶者に全財産を相続させる」と書き残しておくことです。そうすると、もし兄弟が法定相続分(1/4)を主張したとしても、法律上兄弟姉妹は、遺留分を認められていない為、全ての財産を配偶者は相続することができます。遺言の最も効果的な活用法といえるでしょう。

 

なお、相続税は法定相続人が法定相続分通りに遺産を取得したものとして計算されますので、全財産を配偶者に相続させるとしても配偶者に相続税は課されます。

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連載円滑な相続を実現する「権利調整」の進め方

税理士

様々な公益活動を通じて、保育・医療・介護・宗教・歴史と多角度から相続の本質を俯瞰し、家族が幸せになるための相続を志す。理事・顧問を務める公益法人・社会福祉法人・宗教法人・金融機関などとの連携による相続対策も行なっている。近作として、平成28年8月に被相続人と相続人が思いやりのあるコミュニケーションをするためのツールとして、相続気配りセットを制作。全国で発売中。現在、公益社団法人東日本大震災雇用・教育・健康支援機構及び公益社団法人受動喫煙撲滅機構理事長として、震災からの本当の復興と屋内完全禁煙の実現を目指している。

著者紹介

きっと今までになかった相続の権利調整を考える本

きっと今までになかった相続の権利調整を考える本

田中 潤

メディアパル

生前そして亡くなってからの様々な場面で被相続人・相続人が示す判断、それは家族の幸せと 一族の平和を守る為の活動であり、そこでのコミュニケーションこそ相続の権利調整です。本書では、イラストと漫画で様々な相続案件を…

相続気配りセット

相続気配りセット

一般社団法人 相続よろず相談所

メディアパル

「相続気配りセット」は、いかに大過なく有形・無形の財産を承継してゆくか、ということに重点を置き制作しました。フルカラーのイラストも楽しく、肩ひじ張らずに気軽に必要な項目を書き込めます。財産を遺す人から受取る人へ…

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