今回は、法定相続人の中に「行方不明者」がいる場合の手続きについて見ていきます。※本連載は、税理士・田中潤氏著『きっと今までになかった相続の権利調整を考える本』(メディアパル)から一部を抜粋し、相続を円滑に進める「権利調整」について、分かりやすく解説します。

行方不明者の代わりに「不在者財産管理人」を選任

ある人が亡くなって相続が発生した場合、通常はその人(被相続人)の家族がその遺産を引き継ぐための手続きに着手します。

 

その時、遺産を引き継ぐべき法定相続人の中にどこにいるのか分からない人がいる場合があります。そうした場合、残りの法定相続人だけでは遺産分割協議が出来ず、財産を引き継ぐことができません。

 

このような時は、家庭裁判所に不在者財産管理人選任審判の申し立てをして、不在者財産管理人を選任します。

不在者が死亡したものと見做される「失踪宣告の確定」

不在者財産管理人は遺産分割協議に行方不明者に代わって参加し、協議書に署名・押印して分割協議を確定させます。これによって、行方不明者がいても相続手続は遂行できるわけです。

 

また、不在者(行方不明者)の生死が7年間不明の場合には、相続人は家庭裁判所に失踪宣告の申し立てをすることができます。

 

失踪宣告が確定すると不在者は失踪期間満了時に死亡したものと見做されます。失踪宣告が確定すると、失踪宣告の申し立て人は失踪宣告を受けた者の本籍地に失踪宣告届を提出しなければなりません。これによって、もし行方不明者の相続人がいれば新たに相続人に加わって分割協議がなされます。また、行方不明者自身の相続も同時に行なわれることになります。

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