共有名義、ペアローンで買ったマンションのことで意見が分かれ、調停が長期化
それから約2ヵ月たって、Mさんのもとに裁判所から離婚調停の書類が送られてきました。「ああ、こうなってしまうのか…」絶望の淵に立たされた気持ちになったMさん。
仕事にも集中力がなくなり、寂しさと悲しさとでいっぱいになりました。離婚調停がスタートすると、そこに苛立ちという感情も加わりました。
調停の場では攻撃的な態度を取られ、Mさんにとっては理解不能なことばかりだったそうです。とくにモメてしまったのが、2人の共有名義で、ペアローンを組んで買った高級マンションのことです。R子さんは「売却して財産分与したい」、Mさんは「住み続けたい」と平行線の状態でした。
弁護士もいれての調停でしたが、あいにく弁護士は住宅ローンのことは専門外。Mさんが家に住み続けるための対策を打つことはありませんでした。
平行線で調停が進む中、Mさんは精神的に追い詰められてきていました。そして、調停は不成立になり裁判へと移行していったのです。そして、妻が出て行ってから約2年後、やっと筆者である入江を知り合いから紹介され、相談をしてきたわけです。
とにかく、もめているポイントであるマンション問題を解決しなくてはなりません。Mさんの「今の家に住み続けたい」という意思を再度確認し、必要書類を揃えてもらい、住宅ローンの事前審査をすることになりました。
Mさん・R子さんは2人とも高収入で、その収入に見合う高額なマンションを購入していました。購入して3年ほどのローンをMさんが1人で借り換えるのは、数字から見てとても厳しいものがありました。
Mさんは高収入ではあるものの、生活コストも高い上に、離婚調停での弁護士費用などにもお金を使っていたので、預貯金がふんだんにあるわけではありません。
借り入れ可能金額の上限まで借り入れをして、それでも不足する部分は両親から借りるということで、ローン返済についてはなんとか目途がつきそうなところまできました。
しかし、すべてが解決したわけではなく、Mさんが筆者のところに相談にみえてから約2年が経とうとしていますが、離婚裁判は今なお続いています。
Mさんが長期間の離婚調停から続く裁判とR子さんの理不尽さに疲れ切っているのは明らかで、最近では、「いろいろ計算をして返済の目途はついたけれど、本当にこんなにたくさん住宅ローンを払っていけるだろうか」と、不安を口にするようになってきました。