店の料理を自分で食べた・販売商品を友人に安く売った場合は?
◆あまった物でも「事業主に売った」と考える
飲食業の方がお店の料理を食べたり、小売業の方が店の商品を知り合いに安く売ったり……というのは、よくある話です。しかしその場合にも、その料理または商品を事業主個人や知人に販売したとみなして、きちんと売上を計上しなければなりません。
お店の料理を食べたり、商品を使ったりして、売上に計上しなかったとしましょう。その場合、料理の原材料や商品の仕入代金など必要経費だけが計上され、利益が減少することになります。その結果、納めるべき税金が少なくなってしまいます。
そのため、事業主が食べたり使ったりした物については、事業主個人に対して販売した物とみなして、売上を計上します。この場合に計上する金額は「通常の販売金額の70%」か「仕入金額」のいずれか高い金額を選択します。この際、勘定科目は通常の「売上」ではなく、「家事消費等」を選んでください。
◆30%以上の割引にも追加処理が必要
また友人や知人などに、サービスで商品を通常の販売価格の70%未満で販売した場合にも、追加処理が必要です。
たとえば通常の販売価格の50%で販売した場合には、70%と50%との差である20%分の金額を追加売上として計上しなければなりません。
なお、広告宣伝のためにサンプルとして商品を提供する場合や、流行遅れのためバーゲンセールなどで70%未満の金額で販売した場合には、これらの処理は不要です。
では具体的な例で、入力方法を確認していきましょう。
◆自分の店の料理を食べたり、商品を自分で使ったときの処理のしかた
仕訳日記帳に、通常販売金額の70%と仕入金額のいずれか高い金額を計上します。
★飲食業者が通常1,000円で提供している料理を自分で食べた場合(材料費300円)
材料費300円よりも、1,000円×70%=700円のほうが高いので、700円を「家事消費等」として計上します。
★小売業者が1万円で販売する商品を自宅に持ち帰り使用した場合(仕入金額8,000円)
仕入金額8,000円が、1万円×70%=7,000円よりも高いので、8,000円を「家事消費等」として計上します。
★小売業者が1万円で販売している商品を友人に5,000円で販売した場合
実売価格5,000円なので、1万円×70%=7,000円との差額2,000円を「売上高」として計上します。
小林 敬幸
税理士、ファイナンシャル・プランナー
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