普段なにげなくとっている食事。時間に追われる現代人は「忙しいから」と適当に済ませてしまう人も少なくありません。しかし、超高齢社会の到来で年々注目度が増している「予防医学」の観点では、普段の食生活が非常に重要だと、医師の秋谷進氏はいいます。こうした「栄養」の分野で唯一の国家資格が「管理栄養士」です。今回は、そんな管理栄養士の業務内容と給与事情をみていきます。
平均年収「400万円未満」の現実…予防医学の重要人材「管理栄養士」の“あまりにも低い”給与額 (※写真はイメージです/PIXTA)

栄養部門で唯一の国家資格「管理栄養士」

日々の生活に欠かせない食事。普段摂取する栄養素から、私たちのからだはできています。したがって、普段の食事が体調を左右するといっても過言ではありません。

 

こうした「食事」「栄養」のプロフェッショナルとして活躍するのが「管理栄養士」です。指定されたカリキュラムを学び、国家資格を取得する必要がある管理栄養士は、「栄養のスペシャリスト」といえます。

 

学校で活躍しているイメージの強い管理栄養士ですが、勤務先は食品メーカーや病院、福祉施設などさまざまです。今回は、意外と知られていない管理栄養士の業務内容と気になる年収について、複数のデータをもとにみていきましょう。

知ってる?「管理栄養士」と「栄養士」の違い

ところであなたは「管理栄養士」と「栄養士」の違い、知っていますか?

 

どちらも栄養指導を行うことに違いはありませんが、「誰が認可しているか」と「誰に栄養指導を行うことができるか(対象)」が異なっています。

 

どちらを目指すにしても、高等学校を卒業後、厚生労働大臣が指定する「栄養士養成施設(短大・大学・専門学校など)」で最低2年間、栄養に関する知識や技能を学ぶ必要があります。栄養士養成施設を卒業すると、都道府県から「栄養士資格」をもらうことができます。

 

管理栄養士になるには、この「栄養士」の資格を持っていることが前提です。そのうえで、さらに実務経験を1年〜3年積み、管理栄養士の国家試験に合格することで、「管理栄養士」の免許を取得することが可能です。

 

実務経験の必要年数は、栄養士養成施設の年数によって変わります。養成施設を2年間過ごしたなら実務経験は3年、3年間であれば実務経験は2年、4年間なら1年です。

 

また、「管理栄養士になるための養成施設」というのもあり、その場合4年間のカリキュラム卒業後すぐに「管理栄養士国家試験」を受けることができます。

 

このように考えると、管理栄養士は必然的に「栄養士」の資格も取っており、さらに実務経験や特定の施設での修練が必要な分、栄養士よりも難易度が高い資格といえます。

 

図中の数字は「合格者数/受験者数」、(合格率(%))
[図表]管理栄養士国家試験結果(直近5年) 図中の数字は「合格者数/受験者数」、(合格率(%))

 

「管理栄養士」は栄養指導を行う範囲が広い

また、「栄養士」よりも「管理栄養士」のほうが「栄養指導を行える対象者」が幅広いです。

 

栄養士は主に「健康な人」を対象とした栄養指導が中心です。一番なじみ深いのは「学校の給食」ですよね。栄養バランスを考えた献立を考え、調理・提供まで幅広く行います。また、人々が健康的な食生活を過ごせるよう、食や健康に関する正しい知識や技能を伝えることも栄養士の大切な仕事です。

 

しかし、人が病気にかかった場合、「必要とする栄養バランス」は異なってきます。たとえば高血圧の方の場合「塩分を控える」ことが重要です。一方、起立性低血圧の人では塩分を控えすぎることは逆効果になるかもしれません。

 

また、高齢者は全体の筋肉が衰えるため「タンパク質の摂取」が特に大切といわれますが、慢性腎不全が進んでいる人は、「過度のタンパク質摂取」は腎臓にとってよくない可能性があります。

 

このように、病気を患っている人や高齢者、傷病者など、配慮が必要な人それぞれに合わせて「必要とする栄養バランス」を考え、指導を行うのが管理栄養士です。