ひと口に老後といっても、ライフスタイルや家族構成に変化があり、その時々で最適な住まいのカタチがあります。そして老後の後半になってくると、身体は不自由になり、自宅での暮らしもしんどくなり……そうなると「老人ホーム」も1つの選択肢です。しかし入居者の家族のなかには「老人ホームに入れてしまった」などと、後悔の念を抱き続けるケースも。実際に入居者はどう思っているのでしょうか。
お母さん、老人ホームに入って幸せ?後悔の念にさいなまれる「50代の娘」に「85歳の母」の回答 (※写真はイメージです/PIXTA)

何歳から「老後」は始まりますか?

――老後を見据えて備えなさい

 

最近、やたらといわれるこのフレーズ。しかし、そもそも老後は何歳からなのでしょうか。どう考えるかは人それぞれで、お年寄り扱いしたら「私はまだまだ現役じゃい!」と怒られた……そんな経験もあるでしょう。生命保険文化センターの調査によると、「老後資金を使い始めた年齢」として最も多かったのが「65歳」で34.2%。続いて「70歳」が23.4歳。平均は66.8歳でした。仕事を辞めて、老後資金と見込んでいたお金、多くは年金を頼りに暮らしていくことになったら、老後のスタート、といったイメージでしょうか。

 

定年は60歳、年金をもらえるのは原則65歳なので、現在は65歳まで働く人が多く、60歳定年の8割にのぼるといわれています。しかし65歳を超えたら全員やめるのかといえばそんなことはなく、年金受給年齢を達しても働き続ける人も。ただ現状、原則、厚生年金に加入できるのは70歳までなので、65歳の次に70歳を区切りにする人が多いようです。

 

いつまで仕事を続けるかによって、老後のスタートは変わりますが、次にひとつの区切りになりそうなのが「介護が必要になったとき」。要支援・要介護の認定を受ける人は、70代前半では5.8%だったのが、70代後半で12.1%、80代前半で25.8%、80代後半で59.8%。ちょうど倍々ゲームのように増えていきます。

 

そして老後、次のステージが「配偶者を亡くしたとき」。日本人の平均年齢と、夫婦の年齢差から単純に考えると、妻がもうすぐ80代になろうとするときに夫は逝去。「夫を亡くした妻」としての老後がスタートします。

 

このように老後とひと口にいってもライフスタイルや家族構成は変わっていきます。それによってライフスタイルや理想の住まいのカタチも変わっていくでしょう。

 

株式会社AlbaLinkが行った『老後の住まいに関する意識調査』によると、老後に住みたい住宅のスタイル、トップは「戸建て住宅」で48.6%。続いて「サービス付き高齢者向け住宅」で11.6%。「分譲マンション」10.6%、「通常の賃貸住宅」10.4%、「有料老人ホーム」7.4%と続きます。

 

一生、住み慣れた家でというわけではなく、ライフスタイルや家族構成の変化によって、ときに住み替えを行ったほうが良い場合もあるでしょう。戸建てやマンションではなく、いわゆる「老人ホーム」が支持されているのは、そのあたりからでしょうか。

 

■サービス付き高齢者向け住宅を支持する声

――家族に迷惑をかけずに日常生活を過ごせると思う

――1人では不安だが縛られたくはないから。

■有料老人ホームを支持する声

――プロが面倒を見てくれるので、家族に迷惑をかけないか

――孤独死は嫌ですし、家族に心配をかけたくないので

 

出所:株式会社AlbaLink『老後の住まいに関する意識調査』より