日本の高齢化率は上昇の一途をたどっていますが、あらゆるシーンで高齢化が進んでいます。それは「犯罪」においても同様。いまどきの高齢者による犯罪事情、みていきましょう。
「運賃不足してますよ」に76歳男性、逆上…年金月14万円、恐ろしくバイオレンス「暴走老人」の実態 (※写真はイメージです/PIXTA)

最近、高齢者による犯罪、多くないですか?

ーー運賃が不足してますよ

 

電車やバスで運転手から、そんな指摘。たいていの人は「あっ、すみません」とでもいって、不足分を払うでしょうか。しかし、76歳男性は違いました。鹿児島県霧島市内の駅で運賃不足を指摘され、30代の男性駅員の胸ぐらをつかむなどした疑いで任意での事情聴取を求められたとか。しかし応じなかったため、逮捕に至ったと伝えられています。報道では詳しい内容は伝えられてなく、もしかしたら、駅員の対応がすごくまずかった可能性も。ただニュースを知った人たちからは「最近、多いよね。こういう高齢者」という声がチラホラ。

 

先日もSNSで、電車で泣く赤ちゃんに対してブチ切れる高齢男性の一部始終が拡散され、物議を呼んでいました。また大きなニュースでは埼玉県蕨市の郵便局に86歳男性容疑者が拳銃を持って立てこもった事件。事件の概要はもちろんのこと、容疑者の86歳という年齢にも注目が集まりました。

 

このような事件がニュースやSNSなどで伝えられているからでしょうか、「最近は高齢者による犯罪が増えているなあ」と感じる人も多いでしょう。

 

一般社団法人日本民営鉄道協会『鉄道係員に対する暴力行為の件数・発生状況について』によると、加害者の年齢は、「20代以下」21%、「30代」18%、「40代」21%、「50代」16%」、「60代以上」16%。高齢者が特別多いというわけではありません。ただ「年齢を重ねていくだけ、体力・気力共に衰えていくはず」というフィルターがかかっているからでしょう。高齢者が犯罪を犯したニュースを耳にすると、意外性を感じてしまうものです。

 

厚生労働省の調査によると、厚生年金受給者の平均受取額は月14万円。65歳以上に限ると、男性で月17万円、女性で月11万円です。これだけで足りるかどうかは微妙なところ。長寿化も進み、老後資金枯渇の不安もあり、最近は高齢者になっても働く人が増加。高齢者の就労率は25%を超え、65~69歳に至っては半数を超えています。働かなければ生きていけないという事情もあるかもしれませんが、日本の高齢者は年金受給年齢を超えても働き続けられるほど元気。高齢者が犯罪を犯すなんて、という認識は大きく間違えているのかもしれません。