シングルマザーのAさんは、毎月5万円の養育費と手取り12万円のパート収入を頼りに息子と2人暮らしをしています。しかしある日、元夫からの養育費がストップしてしまい、次第に貯蓄も底をついてしまいます……。Aさんは今後の生活をどうすればよいのでしょうか。本記事では、FP1級の川淵ゆかり氏がAさんの事例とともに、ひとり親世帯が利用できる手当や補助について解説します。
“手取り12万円の37歳シングルマザー”元夫からの養育費がパタリと途絶え、貯蓄も底をつき「もう限界」…絶望を救う〈FPからの助言〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

37歳シングルマザーを襲った新型コロナの影響

(※写真はイメージです/PIXTA)
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新型コロナも収まってきており、もとの生活に戻ろうとしていますね。これは、新型コロナが一番大変だったころのシングルマザーのお話です。

 

37歳のAさんは、7歳の息子と2人暮らしのシングルマザーです。5年前に離婚して、サラリーマンの40歳の元夫からの毎月5万円の養育費と手取り12万円のスーパーでのパート収入を頼りに、家賃約5万円のアパートに2人で暮らしていました。

 

そんななか、新型コロナの影響はAさんの暮らしに大きな影響を与えます。まず、勤務先のスーパーでは買い物かごやカートの取っ手部分のアルコール消毒や清掃の手間が増え、コイントレーでの現金受け渡しなど仕組みが大きく変わったことで神経も休まりません。

 

さらに、一斉休校や外出自粛のためにスーパーへの来客数は逆に増えてしまったり、子どもの預け先のなくなってしまった従業員や家族が感染した従業員が出勤できなかったりで、仕事が大幅に増えてしまいました。

 

それでも一人息子の成長を楽しみに暮らしていたのですが、新型コロナウィルスの影響がボーナスなどに響いたせいか、元夫からの養育費がストップしてしまいます。その後は貯蓄を切り崩しながら生活を続けましたが、息子が小学校に入学してまとまった出費もあったこともあり、蓄えも底をつきそうです。

 

「精神的にも肉体的にももう限界かも……」Aさんは頭を抱えてしまいます。

「養育費の取り決め」を行っていない母子家庭は意外に多い

厚生労働省が発表した令和3年「全国ひとり親等世帯調査」によると、養育費の取り決めを行っていない母子家庭は全体の51.2%にものぼっています。取り決めを行っていない理由ですが、上位から

 

・相手と関わりたくない。(50.8%)

・相手に支払う意思がないと思った。(40.5%)

・相手に支払う能力がないと思った。(33.8%)

・取り決めの交渉がわずらわしい。(19.4%)

 

となっており、積極的に交渉していないのがわかります(複数回答)。

 

養育費は子どもにとって大事なお金ですから、口もききたくない相手でもきちんと話し合う必要が親にはあります。高校を卒業するまでは手当や補助などで生活を助けてもらえても、大学進学でお金のかかる時期はやはり父親の助けは重要です。どうしても養育費が受け取れない状況で生活が苦しい場合は、実家に余裕があれば頼ってみることも考えてみてください。

 

これからの時代、女性の経済的な自立がより重要に

一方で、養育費の取り決めをしていない理由として「自分の収入等で経済的に問題がない」とするシングルマザーも7.3%います。正社員で働いたり経営者だったりして、しっかりした収入がある女性でしょう。離婚に限らず、いろいろな生き方がありますから、これからの女性は経済的にも自立していることが望ましいですね。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
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特に日本は今後は人口減少が加速して、将来の年金制度もどうなるかわかりません。結婚や出産を機に仕事を辞めてしまう女性も多いですが、将来の生活を考えて、仕事を続けることや復職することも選択できるようにしておきましょう。子どもについても経済的に自立できるような教育が必要だと考えます。