今回は、初心者が最初に覚えるべき、3つのテクニカル分析とローソク足の使い方を見ていきます。※本連載は、IFTA国際検定テクニカルアナリストとして活躍する福永博之氏の著書、『ど素人が読める株価チャートの本』(翔泳社)の中から一部を抜粋し、「テクニカル分析」の基礎知識と分析方法を紹介します。

4つの価格情報を含んでいる「ローソク足」

「本当にローソク足と、この3種類のテクニカル分析だけで大丈夫なのでしょうか?」、「そんなに少ないテクニカル指標だけで成功に近づけるでしょうか?」と、疑問に思うかもしれませんが、ローソク足とこの3つの重要なテクニカル指標だけで大丈夫だという理由を説明しましょう。

 

まずローソク足についてです。ローソク足の読み方については、この後の連載でもっと詳しくお話ししますが、ローソク足は、実は様々な情報を大量に含んでいるテクニカル指標なのです。そのため、投資家の心理も表しているという見方もあります。

 

どういうことかというと、一般的にみなさんが目にする価格は当日の取引が終わった時の価格、いわゆる終値になりますが、ローソク足はこの価格情報を、終値を含め4つも含んでいるのです。

 

また、4つの価格情報に加え、例えば、白と黒といった対比される色付けがなされており、初めてみる人にとっては暗号のように思えるかもしれませんが、前日比の値動きだけでなく、日中の上昇や下落といった値動きを投資家に伝えてくれるものなのです。

ローソク足を使えば、株価の方向を読み取ることも可能

ローソク足は一日の取引を時系列で表示していることから、日々の値動きを連続して確認できることに加え、フォーメーション分析に活用できます。終値だけをみて、株価が上がったか、下がったかに一喜一憂する投資をする人も多いでしょう。

 

しかし、ローソク足が示す4つの価格情報に加え、その色を組み合わせることによっていろいろな種類の意味を持ったローソク足が形作られることになりますが、その意味を知ることによって実に様々なことがみえてきます。

 

例えば、マーケットで売っている人、買っている人のどちらの勢力が優勢なのかといった簡単なことから、ローソク足を複数組み合わせてみることで、一見複雑に思える株価の方向を読み取ることができます。

 

また複数のローソク足によって作られている特徴的な形からフォーメーション分析に活用できるだけでなく、株価の天井や底といった情報までを読み取ることができるのです。

 

[図表1]ローソク足でわかる情報

 

またトレンド分析についても、実はこのローソク足と深い関係があります。なぜなら、トレンド分析は当日の終値を基に作られているからです。そのため、ローソク足とトレンド分析を組み合わせることで、株価が向かっている方向や、上昇トレンドにおける買いタイミングなどを知ることができます。

 

このようにローソク足から読み取った市場の動向に加え、株価の方向を教えてくれるトレンド分析や、いつ買えばいいのかといった売買タイミングを知ることができれば、パフォーマンスの向上や、利益確定を行ったり、損失を拡大させないようにロスカット(損切り)を行ったりすることができ、投資資金を効率的に運用できるようになるでしょう。

 

さらに、株価はずっと上昇し続けるわけでも、下落し続けるわけでもありませんから、天井や底を教えてくれるフォーメーション分析を活用すれば、トレンド転換や売買タイミングのシグナルが発生する前に変化の兆しを知ることができ、まさに鬼に金棒となります。

 

投資判断に重要な要素となるマーケットの現状分析に加え、「買い」か「売り」かの判断や売買タイミング、さらには株価が天井をつけるのか、あるいは底打ちするのかといったところまでわかるわけですから、この3種類のテクニカル分析を身につけるだけで十分なのです。

売買のタイミングは「トレンド分析」を行って判断

下記図表2のフローチャートは、テクニカル分析のアプローチの順番を表したものです。新規で買う場合、銘柄選びはファンダメンタル分析を基本としますが、そこで銘柄の候補が複数あった場合や一つの場合でも、買うのか、それとも様子を見た方が良いのか、トレンド分析を行ってタイミングを計ります。

 

[図表2]初心者が失敗しないためのテクニカル分析のアプローチ

 

たとえば、最上段の例では、ファンダメンタル分析で割安だと判断されても、下降トレンドだった場合は、買いを見送ります。ただ、見送ったあとも、銘柄によっては、底打ちをして上昇に転じる場合もあります。

 

そこでトレンド分析のほかにフォーメーション分析を使って、株価の底入れの可能性を探り、株を買うためにベストなタイミングを計るようにするのです。

 

また、保有株を売るときも同様のアプローチを行い、トレンドが変わったのか、あるいは天井をつけたのかを判断します。

 

たったこれだけのプロセスですから、初心者でもすぐに活用できます。また、客観的な判断ができ、常に同じ条件で銘柄を選んだり、売買タイミングを計ったりすることができるようになります。

 

具体的には、翌年度の業績見通しが出始める2月あたりから銘柄選びを始めます。また、銘柄選びでピックアップした銘柄をもとにトレンドの分析を行います。仮にその期の業績が良くても、翌期に増益が見込めない企業の場合、株価がこのころから徐々に頭打ちになり伸び悩みます。

 

また、翌期も増益基調と予想されても、株価が伸び悩んだり、下降トレンドになったりしている場合、本当に業績見通しが正しいのか、投資家が様子見している場合があるので、買いを見送ります。

 

このように新年を少し過ぎたところから始めるのが初心者には有効ではないかと思われます。また、ベテランも保有銘柄の見直しに活用できます。

ど素人が読める 株価チャートの本

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福永 博之

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