前回に引き続き、収益物件を活用して、資産10億円を実現する不動産運用プランを見ていきましょう。今回は、最小リスクで実現するための具体的な内容を紹介します。

新築マンション1戸から始めてリスクを減らす

経験上、前回、前々回と紹介した2プランは非常に現実的です。どちらもつまずく可能性はかなり低いです。それでも億単位の運用は怖い。いくら理詰めの話を聞いても、この気持ちを変えられない人もいるでしょう。筆者も不動産業界で数多くの経験をしなければそうだったかもしれません。

 

そういう方には、もっともリスクの少ないプランとして最初に新築マンション1戸の購入をお勧めします。

 

なぜ新築なのかというと、何といっても空室のリスクが低いからです。不動産運用において一番怖いのは空室。まして1戸所有なら、当然ながら1戸の空室が出た段階で収入はゼロになります。ローンは勤務医での給与から払うことになってしまいます。

 

ところが新築に関しては不動産業界で「新築プレミアム」と呼ばれ、よほど立地や間取りが悪くない限り、空室に悩まされることはありません。「スーモ」などの不動産ポータルサイトでは、検索条件に必ず「新築」とあるほど、こだわる人が多いのです。

 

さらに新築で購入すれば、売却を検討することになっても比較的スムーズに買主を見つけることができます。マンションの売り時は築20年までです。築浅で購入すればそれだけ売り時の期間が長くなり、資産運用の選択肢が広がるわけです。

 

「1室だけで節税効果があるのか?」と思う人もいるでしょう。心配無用です。十分に効果はあります。例として先日ある年収1500万円の医師(仮にA先生とします)にご購入いただいた新築物件をご紹介します。

 

その物件は都内にあるマンションの1室で、以下のようなスペックでした。

 

●専有面積 55㎡

●間取り 1LDK

●最寄駅からの距離 徒歩3分

●価格 4800万円(諸経費180万円を合わせて合計4980万円)

 

A先生は自己資金3180万円を頭金として、残りの1800万円をローンによって支払うことにしました。毎月の収支は次のようになります。

 

<支出>

●ローン返済額 10万1000円

●管理費 8000円

●管理委託料 3500円

 

支出合計額 11万2500円

 

<収支内訳>

家賃収入16万8000円-支出合計額11万2500円=5万5500円

 

毎月5万5500円、年間66万6000円の黒字となります。まずは純粋に資産運用として成功していることが分かります。さらにローンの金利や減価償却費、登記代、火災保険料などを損益通算することによる還付金は次の額でした。

 

●所得税還付 49万3000円

●住民税減額 15万1000円

 

合計 64万4000円

 

1年目の運用の合計額は以下の金額になりました。

 

<収支内訳>

不動産収益66万6000円+税金還付64万4000円=131万円

 

たとえ1室といえども新築マンションを購入すれば、収益で年間60万円以上、さらに節税でも60万円以上の合計約130万円の収益が見込めるのです。

 

[図表]物件情報

 

将来設計をじっくり検討できる「5年プラン」

もし1棟買いに抵抗を感じるようなら、最初はこのように新築マンション1戸を購入してみてください。思いのほか簡単に収益が上がり、さらに節税効果もあることが実感できるはずです。

 

このパターンで不動産運用を始めた筆者のクライアントである医師の多くは、次のようなステップで5年後に資産10億円に到達しています。

 

2年目新築マンション5戸(合計資産額2億5000万円)

3年目新築マンション5戸+中古マンション1棟(合計資産額3億5000万円)

4年目新築マンション10戸+中古マンション2棟(合計資産額7億円)

5年目新築マンション10戸+中古マンション3棟(合計資産額10億円)

 

このパターンでは、いくつかの物件を売却して、よりグレードアップした物件を購入するといった過程も必要です。しかしながら5年間でここまで数多くの物件を所有するまでになるのです。金融機関は順調にローンの返済をする収益物件のオーナーに対し、審査基準を緩くする傾向があります。そのため、ただでさえ医師は融資を受けやすいのに、さらに追加融資を受けることが可能です。

 

5年プランを選ぶ医師の方は、ほかよりも運用のペースがゆっくりなので、その間に「勤務医を続けるか」「退職して事業を拡大するか」といった将来設計をじっくり検討することができます。

 

また、複数の物件を所有することでリスクの分散ができているので、ここまでくれば簡単には赤字になりません。

 

このように毎年物件を買い足している間に、自分自身に万が一のことがあったら、家族は借金を背負うことになる。そう心配する医師がいます。しかし安心してください。不動産運用ローンの契約は、万が一ご本人が亡くなる、または重度の障害者となった場合に備えて、団体信用生命保険の加入が必須条件となっています。

 

不動産運用による資産形成は、大きなレバレッジ効果があるだけでなく、家族にもやさしいのです。

 

 

本連載は、2015年1月30日刊行の書籍『資産10億円を実現する医師のための収益物件活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

資産10億円を実現する 医師のための収益物件活用術

資産10億円を実現する 医師のための収益物件活用術

大山 一也

幻冬舎メディアコンサルティング

旧来の医療体制が瓦解し始めた今、医師たち一人ひとりに求められているのは勤め先の病院に頼らない、自らの開業をも見据えた確固たる基盤づくりであり、なかでも最も重要なのは資産形成である。資産形成にはさまざまな方法があ…

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