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連載医師のための「資産10億円を実現する収益物件活用法」【第14回】

不動産投資のための各種「指標」の概要とその重要性とは?

不動産投資指標

不動産投資のための各種「指標」の概要とその重要性とは?

不動産の価値を客観的に評価する一つの手段として「指標」があります。収益物件を購入するとき、このような指標は実際どこまで役立つのでしょうか。いくつか例を挙げて検証していきます。

GPI、NOI、FCR、LTV…主な指標の概要とは?

ほとんどの不動産運用の本をめくると、GPI(潜在総収入)やFCR(総収益率)といったさまざまな指標が解説されています。主な指標を紹介しましょう。


● GPI(Gross Potential Income:潜在総収入)
満室・滞納なしを前提とした1年間の家賃収入の総額


● EGI(Effective Gross Income:実効総収入)
GPI から周辺相場の空室率を差し引いた空室損、一括借り上げの手数料、滞納者がいる場合の未回収損を差し引き、さらに駐車場や自動販売機などの雑収入を足した実際に入ってくる収入。EGI = GPI -空室・各損失+その他収入


● OPEX (Operating Expenses:運営費用)
物件の運営管理にかかる費用や固定資産税・都市計画税、損害保険料などランニングコストの合計

 

● NOI(Net Operating Income:営業純利益)
EGI から固定資産税などの税金、不動産管理会社への手数料、共用部分の電気代や水道代などの運営費を差し引いた金額。NOI = EGI-OPEX


● Cap Rate (Capitalization Rate:キャップレート、総合還元利回り)
オーナーの期待する不動産還元利回り。 実際には、リスクのない長期国債の利回りに不動産のリスクに応じて期待する上乗せ収益と物件固有のリスクに応じて期待する上乗せ収益(地域・築年数・構造など)を合算して導き出されるケースが多い。Cap Rate =NOI ÷物件価格

 

● ADS (Annual Debt Service:年間元利返済額)年間の元利返済総額。元利均等返済の固定金利ローンの場合、ADSは毎年一定額となる。ADS =年間元金返済額+年間利息返済額

 

● BTCF(Before-Tax Cash Flow:税引き前キャッシュフロー)
NOI からローン返済額や所得税などの年間総返済額を差し引いた、最終的に手元に残る金額。BTCF = NOI-ADS


● ATCF(After-Tax Cash Flow:税引後キャッシュフロー)
収入を得たことによって発生する税金を引いたものが税引き後キャッシュフロー。対象物
件に不動産投資したときに発生する税金などを引いた実際の収益。ATCF = BTCF-TAX

 

● LTV(Loan To Value:借入金割合)
借入金額の物件価格に対する割合。LTV =借入額÷物件価格


● FCR(Free and Clear Return:総収益率)
NOI を物件価格や諸費用など物件を購入するために費やした金額で割った数値。総コストに対して物件がどれだけの収入を生んでいるかを示す指標。FCR = NOI÷総投資額

 

● K%(Loan Constant:ローン定数)
ADS(年間元利返済総額)のローン残高に対する割合。K% とFCR を比較をすることによって、レバレッジ効果が働いているかどうかの判断ができる。K% =ADS ÷現在のローン残高


● CCR(Cash on Cash Return:自己資本配当率)
BTCF を自己資金で割ることで算出。自己資金に対してどれだけのリターンがあるのかが分かる。ConC%、EDR、ROE、ROI と言うこともある。CCR =税引き前キャッシュフロー÷自己資金


● DCR (Debt Coverage Ratio:借入償還余裕率)
NOI(営業純利益)をADS(年間元利返済額)で割ったもの。ローン返済の何倍の収入があるかを算出し、大きければ大きいほどリスクが低く、小さければ小さいほどリスクが高くなる。DCR が1以下であればデフォルトの状態。DCR=NOI ÷ADS

不動産投資の判断材料は「指標が全て」ではない

不動産運用に係る指標はこのほかにもまだまだたくさんあります。投資家の中には、まるで受験勉強のように時間を費やして完璧に覚えて、これらの指標から割り出した自分の合格ライン以上の物件を探しまくっている人がいます。


しかし、日々診察に邁進する皆さんにそのような時間はあるのでしょうか? 世の中に何万棟とある収益物件の中から興味があるものを見つけるだけで大変なのに、さらに1棟1棟このような指標を算出していてはとても本業に手が回りません。不動産運用にそれほど予備知識は必要ありません。要するに皆さんが知りたいのは、

 

● 節税効果があるのか
● 黒字になるのか

● 資産10億円を実現し、開業ができるのか

 

この3つに尽きるのではないでしょうか。確かに私たち不動産業者は、このような指標を使っていかにお勧めの物件かを説明します。ある程度は何を指す指標かを理解しておいた方が、スムーズに物件探しができるでしょう。


しかし、指標には現れない「この土地柄だからあなたに向いている」「確かに現状のBTCFは少ないが新サービスでの開業が可能」といった提案ができるのはプロです。忙しい皆さんが一生懸命ノートに書き込んで計算するべきではありません。指標の理解はそこそこで結構です。あとはその指標を使って説明する不動産業者の提案の中身を吟味していただきたいと思います。

 

本連載は、2015年1月30日刊行の書籍『資産10億円を実現する医師のための収益物件活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

大山 一也

株式会社トライブ  代表取締役社長

1979年生まれ。東京の不動産投資会社にて、土地売買からアパート、マンション、ビル建設までを幅広く手掛ける。自らが考える不動産価値と収益を最大化する不動産物件を実現するため、2010年に㈱トライブを共同で設立。翌2011年、同社代表取締役就任。これからの高齢化社会では、不動産と医療は密接に連携すべきという持論の下、高収益と高付加価値を同時に実現する独自の不動産物件を多数手掛ける。自ら沖縄の医療法人にも助力し、倒産しかけた医療施設の再建に乗り出し、再生させた。また、新たな医療法人の立ち上げにも参画し、地域医療の活性化に努めている。著書に『なぜ医者は不動産投資に向いているのか?』『資産10億円を実現する 医師のための収益物件活用術』(いずれも幻冬舎)がある。

株式会社トライブホールディングス:http://trivehd.co.jp/

著者紹介

Soegi Group 代表

公認会計士・税理士。1979年生まれ。大阪府立大学経済学部卒業。グロービス経営大学院卒業MBAホルダー。2002年に公認会計士試験合格、卒業後約8年間にわたり大手監査法人にて会計監査、上場準備会社の支援、企業再生、M&A支援等に従事。2010年に同監査法人を退所、公認会計士西川会計事務所を創業。近年は特に医療法人の設立や医師の独立支援を多数手掛ける。

著者紹介

連載医師のための「資産10億円を実現する収益物件活用法」

資産10億円を実現する医師のための収益物件活用術

資産10億円を実現する医師のための収益物件活用術

大山 一也・西川 晃司

幻冬舎メディアコンサルティング

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