資産運用 ヘッジファンド
連載インフレ時代の投資入門【第20回】

元本保証の金融商品が決して「安心・安全」とはいえない理由

元本割れ機会損失

元本保証の金融商品が決して「安心・安全」とはいえない理由

銀行預金の経験しかない方は元本割れを極端に嫌がりますが、インフレによって銀行預金の価値が毀損するケースもあります。今回は、元本保証だからといって安全・安心とはいえない理由を見ていきます。

元本保証の銀行預金でもインフレが起これば・・・

長期投資を前提にすれば、筆者も初めて安心して日本株への投資を勧めることができます。なぜならば、株式投資は一般的にリスクが比較的高いものと思われていますが、長期的な投資であれば、そのリスクをかなり低いところにまで抑えることができるからです。いってみれば、掟破りのローリスク、ハイリターンを狙えるのが、株の長期投資なのです。その理由を順番に説明していきましょう。

 

投資におけるリスクとは、一般的に言えば、損をすること(元本割れ)です。これまで銀行預金しかしたことのない人は、とにかくこの元本割れを極端に嫌がります。なぜならば、元本割れを経験したことがないからです。銀行預金は少なくとも額面上は元本割れのしない商品なので、当初の額面よりも価格が下がると強く「損をした」と感じてしまうようです。

 

しかし、額面上の元本が保証されていても、インフレによって銀行預金の価値が毀損することはいくらでもあります。ところが、投資初心者は不思議なことに、額面上の元本が保証されていると、どんなに周りの環境が変化していても「損をした」とは感じないようなのです。

名目金利以上の率で増えなければ「損をした」のと同じ

一方で、投資の世界には「機会損失」という言葉があります。どんなに元本が保証されていても、10年間預けて年利0.01%しかつかないような定期預金があったとしたら、解約して他の金融商品を探してみるほうがよいでしょう。

 

経済学の世界では、時間=利益です。ことわざでいうところの「時は金なり(タイム・イズ・マネー)」ではありませんが、お金を銀行や保険会社などの他者に預けるのであれば、時とともに確実に増えるのが当然とされています。

 

そして、名目金利以上の率で増えていかないようであれば、それはどんなに元本保証であっても「損をした」ことと同じなのです。ですから「元本保証」の金融商品とは、決して安心・安全なものではなく、むしろその「保証」のぶん、リターンが低く抑えられていると考えるのがよいでしょう。

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

杉浦 和也

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 代表取締役社長

学習院大学経済学部卒業後、1985年に野村證券投資信託委託入社。日本株式運用、総合企画、秘書室勤務を経て野村アセット・マネジメント・シンガポール、野村ブラックロックで幅広い資産運用ビジネスを経験。その後、メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズのディレクターを経て、2002年5月に投資信託本部長としてAIG 投信投資顧問(現 パインブリッジ・インベストメンツ)入社、その後、常務執行役員投資信託本部長を経て、2011年6月から現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

前野 達志

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 執行役員 グ ローバル・マルチアセット運用部長

慶應義塾大学商学部卒業後、1987 年に三井生命保険入社。1993年より同社英国投資顧問現地法人に勤務し、ロンドン・シティからグローバルな株式・債券投資を行う。その後、スカンディア生命保険、三井住友海上シティインシュアランス生命保険を経て、2004年にAIG 投信投資顧問入社。その後、執行役員 運用本部長兼グローバル・バランス運用部長を経て、2013 年1 月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員およびCFA 協会認定証券アナリスト。

著者紹介

連載インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

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