資産運用 株式投資
連載インフレ時代の投資入門【第19回】

日本株への長期投資が「インフレヘッジ」に有効な理由

投資信託インフレ

日本株への長期投資が「インフレヘッジ」に有効な理由

現金や預金はインフレになると価値が下がります。インフレリスクに備える場合、日本株への長期投資がやはり有効といえます。

経済成長に伴って価値が上がる資産とは?

2%のインフレリスクをヘッジするためだけであれば、債券の投資信託でも十分かもしれません。しかし、仮に投資信託で利回り2%を達成したとしても、2%のインフレが同時に進行していたとしたら、差し引きはゼロです。資産は目減りはしませんが、増えもしません。

 

インフレリスクをヘッジしつつ、資産を増やしていくことを考えるのであれば、筆者が本当にお勧めしたいのは日本株への長期投資です。現金や預金と異なり、株式や不動産や金(ゴールド)などの資産は、物価に連動して価格が上昇します。つまり、現金や預金はインフレになると価値が下がってしまいますが、株式や不動産はインフレになっても価値が下がらないのです。それどころか経済成長に伴って、それまでよりも価値が上昇することもあります。

 

なぜならば、景気がよくなると富裕層は投資に積極的になりますし、インフレに強い株式や不動産への投資を始める人も増えるからです。投資が投資を呼び、需要が増大したところで、供給がそれほど増えるわけでもないので、経済学の需要と供給の原則に従って価格が上昇するわけです。

 

しかしここでは、価格上昇の可能性については簡単に触れるにとどめておきます。欲に目が眩んだ投資はたいてい失敗するものですし、価格が上がるからといわれて株を買った人の多くは、短期的な価格の下落に対して大きく反応し「上がるというから買ったのに下がったじゃないか」と大騒ぎするからです。

 

本来、株式投資とは短期的な売買で利ざやを稼ぐためのものではありません。そのような目的で株に投資したい人は、デイトレードやチャート分析、テクニカル分析などについて書かれている、別の本や記事を読まれたほうがよいでしょう。

短期的な利益狙いで株式投資を始めるべきではない?

筆者が推奨する株式投資の第一の目的は、あくまでもインフレヘッジです。もちろん、長期的に株式投資を行えば、インフレヘッジ以上の利益を上げることは可能です。しかし、これまで、あまりにも利益と株式投資とを結びつけた報道ばかりがなされてきたために、多くの人が投資を敬遠しすぎてきたのではないかというのが筆者の考えです。

 

短期的な利益狙いで株を買った人の多くは、買った次の日から、毎日、株価が上がったか下がったかを確認して一喜一憂します。上がり続けているうちはよいのですが、運悪く、下がることもあります。そうなると株価が気になって仕事がろくに手につかないという人も出てきます。株式投資のせいで本業がおろそかになって、収入が減少するようなことがあっては本末転倒です。そもそも、そんなことをしていたら身がもちません。

 

よほど株が好きで毎日チャートを眺めていても飽きないという人か、株式投資を本業として投資収益で生計をたてているプロの投資家でなければ、短期的な利益狙いで株式投資を始めるべきではないと筆者は考えています。

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

杉浦 和也

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 代表取締役社長

学習院大学経済学部卒業後、1985年に野村證券投資信託委託入社。日本株式運用、総合企画、秘書室勤務を経て野村アセット・マネジメント・シンガポール、野村ブラックロックで幅広い資産運用ビジネスを経験。その後、メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズのディレクターを経て、2002年5月に投資信託本部長としてAIG 投信投資顧問(現 パインブリッジ・インベストメンツ)入社、その後、常務執行役員投資信託本部長を経て、2011年6月から現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

前野 達志

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 執行役員 グ ローバル・マルチアセット運用部長

慶應義塾大学商学部卒業後、1987 年に三井生命保険入社。1993年より同社英国投資顧問現地法人に勤務し、ロンドン・シティからグローバルな株式・債券投資を行う。その後、スカンディア生命保険、三井住友海上シティインシュアランス生命保険を経て、2004年にAIG 投信投資顧問入社。その後、執行役員 運用本部長兼グローバル・バランス運用部長を経て、2013 年1 月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員およびCFA 協会認定証券アナリスト。

著者紹介

連載インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

仮に今、あなたに1000万円の預金があるとしましょう。安倍内閣が掲げるインフレ目標2%が今後毎年達成された場合、その預金の価値は毎年2%、つまり20万円ずつ目減りしていくことになります。預金の金利はもちろんつきますが、現…

Special Feature

2016.12

「法人保険」活用バイブル<書籍刊行>

決算対策、相続・事業承継、財産移転・・・企業とオーナー社長のさまざまな課題解決に、絶大な効果を発揮する「法人保険」の活用…

GGO編集部(保険取材班)

[連載]オーナー社長のための「法人保険」活用バイブル~決算対策編

【第19回】保険のための医的診査 結果が「少し悪い」ほうが社長が喜ぶ理由

GTAC(吉永 秀史)

[連載]法人保険を活用した資産移転の節税スキーム

【第15回】「逆ハーフタックスプラン」活用時の留意点

Seminar information

不動産活用セミナーのご案内

償却メリットを狙った「京都の町家」投資の魅力

~建物比率5割超&4年で減価償却も可能!独自の不動産マーケットを形成する京町家だから実現する投資法

日時 2016年12月10日(土)
講師 平野準

海外不動産セミナーのご案内

償却メリットにフォーカスした「ハワイ不動産」投資の最新事情

~築古木造のタウンハウスで建物比率80%以上。「ハワイの償却物件」の実際と活用法

日時 2016年12月10日(土)
講師 大橋 登

海外活用セミナーのご案内

国際金融都市「香港」で始めるグローバル資産防衛

~本格的な海外投資環境を整えるメリットと現地の最新金融事情

日時 2016年12月10日(土)
講師 長谷川建一

The Latest