資産を守るために「投資」が必要な理由とは?

「自分とは無縁」と考える人も多い「投資」ですが、資産を守るという観点から見ても、じつは「投資」が欠かせません。今回は、なぜ投資が必要なのか、改めて考えてみましょう。

資産を持つことに対してノーリスクはありえない

資産を守るためにはどうしたらいいのか? その答えが投資です。しかし、この答えにもろてをあげて同意してくれる人は、必ずしも多くないかもしれません。リスクのある投資に積極的になれない人も多いからです。

 

そこで、なぜ今、投資をすべきなのかを詳しく説明していきましょう。まず、そうはいってもリスクを負うことにためらいがある投資初心者には、明確にさせていただきたいことがあります。

 

どんなかたちであれ、資産を持つことに対してノーリスク、ゼロリスクということはありません。例えば、銀行や信用金庫に預金をするにしても、民間企業である金融機関が倒産するリスクはゼロではありません。

 

もちろん、たとえ銀行が破綻したとしても元本1000万円までの預金は、預金保険機構による預金保険によって保護(ペイオフ)されていますから、ノーリスクといえるかもしれません。しかし、政府と日銀と国内民間銀行の出資による預金保険機構そのものだって、リスクとは無縁ではないのです。

 

また、銀行破綻よりも、さらに現実的で恐ろしいのは、インフレリスクです。第二次世界大戦の敗戦直後のように、3年半で物価が100倍になるようなインフレとなれば、現金や預金の金額はそのまま保全されたとしても、その価値は100分の1になってしまいます。

人生はまさに「投資」の連続と考えれば・・・

まず、「投資」に対する誤解を解くための話をしましょう。なぜなら、世の中には、「投資」という言葉にうさんくささを感じる人もいるからです。うさんくさいとまではいかなくても、多くの人は「投資」という言葉に何やら特別なイメージを持っているようです。確かに「投資」という言葉を分解してみると「資金」を「投じる」になりますから、ちょっとした決断が必要に思えます。一般の人が、自分は「投資」とは無縁だと思うのも無理はありません。

 

ところで、一方で「投資」という言葉は、「設備投資」に代表されるように、ビジネスの世界では当たり前のように使われています。「新規事業を立ち上げる」ことは会社にとっては大きな「投資」ですし、社員を採用するのは、人材に対する「投資」にほかなりません。一般的に言って、ビジネスは「投資」なくしては成り立たないものです。

 

今あげたのは会社が行う「投資」ですが、実は個人が「投資」の主体となることも決して少なくありません。それは「自己投資」という言葉でよく表されます。いわゆる「自己投資」とは、自分を成長させるために「時間」や「金銭」などをかけることです。具体的には、資格取得を目指したり、社会人になってから大学院に入学したり、セミナーや講習会に出席したりすることを指します。いずれも、それなりに時間もお金もかかりますが、それをするだけの価値があるから「投資」に値するわけです。

 

しかし、このように考えていくと、幅が広がりすぎて「投資」とは何なのかが見えにくくなりそうです。そこで、次に「投資」でないものについて考えてみましょう。例えば洋服を買う行為は「投資」でしょうか、「投資」ではないでしょうか。これはケースバイケースです。もしそれがプライベートで着るものであれば「投資」ではありませんが、ビジネスで使う高価なスーツで仕事に必要ということであれば「投資」といえます。

 

では、ゴルフのスクールに通うのは「投資」でしょうか、「投資」ではないでしょうか。これもケースバイケースです。やはりゴルフの上達がビジネスで明らかに役に立つのであれば「投資」ですが、特に上達する必要がないのに、ゴルフが好きで楽しみのために習いたいというのであれば「投資」ではありません。

 

また、子どもをタイガー・ウッズのようにゴルフのプロに育てたいからスクールに通わせるのは「投資」ですが、ただ単にスポーツとして習わせるのであれば「投資」ではありません。では、将来、ビジネスの役に立つだろうから子どものうちからゴルフを習わせたいというのはどうでしょうか。このあたりになるとボーダーラインで微妙になってきますが、広い意味では「投資」と考えてもいいでしょう。一般に子どものためにかけるお金は、広い意味での「教育」であり「投資」だと考えられています。

 

このように見てくると、「投資」とは何であるのかがだんだん分かってきます。筆者の考えでは、投資とは次のように定義できるものです。


(1)将来により大きな機会を得るために
(2)現在のお金や時間などをつぎこむこと

 

この場合の「機会」とは、おおむね「お金」や「時間」のことですが、広い意味では「幸福」や「楽しみ」なども含めてよいと思います。ある意味では、人生、すなわち人が生きることは、まさに「投資」の連続だといっていいでしょう。

 

あなたが経験した高校受験、大学受験、そして就職のための勉強は、あなたの将来のための「投資」にほかなりませんでした。英検や簿記やファイナンシャル・プランナーなどの資格の取得にもお金と時間がかかりますし、資格取得を考える背景には将来の利益への見込みが必ずあるはずです。つまり、人間が成長していくためには「投資」が欠かせないといっていいでしょう。「投資」のない人生なんて、何の成長もなく、ただ日々を生きているのと変わりません。

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載インフレ時代の投資入門

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 代表取締役社長

学習院大学経済学部卒業後、1985年に野村證券投資信託委託入社。日本株式運用、総合企画、秘書室勤務を経て野村アセット・マネジメント・シンガポール、野村ブラックロックで幅広い資産運用ビジネスを経験。その後、メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズのディレクターを経て、2002年5月に投資信託本部長としてAIG 投信投資顧問(現 パインブリッジ・インベストメンツ)入社、その後、常務執行役員投資信託本部長を経て、2011年6月から現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 執行役員 グ ローバル・マルチアセット運用部長

慶應義塾大学商学部卒業後、1987 年に三井生命保険入社。1993年より同社英国投資顧問現地法人に勤務し、ロンドン・シティからグローバルな株式・債券投資を行う。その後、スカンディア生命保険、三井住友海上シティインシュアランス生命保険を経て、2004年にAIG 投信投資顧問入社。その後、執行役員 運用本部長兼グローバル・バランス運用部長を経て、2013 年1 月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員およびCFA 協会認定証券アナリスト。

著者紹介

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

仮に今、あなたに1000万円の預金があるとしましょう。安倍内閣が掲げるインフレ目標2%が今後毎年達成された場合、その預金の価値は毎年2%、つまり20万円ずつ目減りしていくことになります。預金の金利はもちろんつきますが、現…

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