今回は、強固な信念に基づく「FXの中長期的な相場観」をつくる方法と、Gさんによる今後の相場の見通しを紹介します。※本連載は、投資番組の司会を担当するほか、投資家への投資ノウハウのインタビュー記事の執筆などで多数のファンを持つ、フリーアナウンサーの内田まさみ氏の著書、『FX億トレ! 7人の勝ち組トレーダーが考え方と手法を大公開』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋し、勝ち組トレーダーの考え方、手法などを紹介します。

貿易会社経営の実務を活かして
年間5000万円の利益を上げるスイングトレーダー

Gさん( 兵庫県在住の兼業トレーダー)
Gさんは、国内からアジア諸国へ工作機械を輸出する貿易会社を経営している40代の男性だ。海外とビジネスを行なう企業にとって、為替変動は頭を悩ます要因のひとつ。というのも、商取引はほぼ外貨で行なわれており、海外で得た利益は決算時期などに合わせて、外貨を売って円を買う取引(円転)をする必要がある。しかし、円転のタイミングで円高が進んでいれば、回収した代金は円建てで目減りすることになり、業績には悪影響を及ぼす。その為替リスクを軽減させるため、多くの企業では、円安だと思われる時期に「為替予約取引」を行なっている。Gさんは、その為替予約取引を通して相場観を磨き、FX取引でも利益を積み上げている。

日米間の「10年国債利回り」を比較し、相場を予測

では、「信念を曲げない」ほどの相場観をどのようにしてつくっているのでしょうか。私はあくまでも実業の世界にいる人間ですし、マーケットの見通しについては、エコノミストやアナリストと称されている、いわゆるプロの方が大勢いらっしゃるので、ノウハウを偉そうに語れるほどのものではありません。

 

それを前提に、あえて申し上げるとしたら、いちばんよくチェックしているのは、米国の10年国債利回りです。そして、これと日本の10年国債利回りとの金利差を把握します。米国10年国債利回りと日本の10年国債利回りの金利差が広がったとき、あるいはこれから広がると予測されるときは、米ドル買い・円売りの傾向(ドル高)が強まりますし、逆に金利差が縮小しているときは、米ドル売り・円買いの傾向(円高)が強まると考えています。

 

また、米国の株価も注意して見ています。といっても、個別銘柄に投資するわけではないので、見るのは米国の株価インデックスです。株価インデックスといっても、S&P500やNASDAQなどさまざまなものがありますが、私が見ているのはNYダウ30種平均です。

 

[図表]米国の10年国債の利回りをチェックし、日本の10年国債の利回りと比較することにより中長期的な相場観をつくる

出所:『[新版]本当にわかる為替相場』(尾河眞樹著、日本実情出版社)
出所:『[新版]本当にわかる為替相場』(尾河眞樹著、日本実情出版社)

 

目下、米国の株価は上昇トレンドが長く続いていますが、これがどこで崩れるのかということには注目しています。米国の株価が急落したときは、やはり米ドルが売られますから、円高が進むはずです。

 

米国の株価が急落するということは、米国の経済そのものがピークアウトしたことも意味するので、米国では利下げのムード、もしくは現在の利上げをいったん、見送るという動きになると思います。それは、先ほどの米国10年国債利回りと、日本の10年国債利回りの金利差が縮小することを意味しますから、その観点からも円高が進む可能性が高いことになります。

自分の信念を貫き、一時の含み損に動じないこと

現時点での私自身の見込みを言うならば、おそらく2020年までには大きく円高に向かう場面があるのではないかと考えています。

 

ただし、超長期的には円高だと思っていても、たとえば、ブレグジット(英国のEU離脱)を問う国民投票のときや、米国の大統領選挙のときのように、短期的に円高が行き過ぎたような局面になれば、円売り(ドル買い)もしっかりやるつもりです。

 

もちろん、途中で想定外の方向に相場が動くようなことがあれば、その都度、前提条件を再確認し、必要であれば軌道修正を柔軟に行なうことも大事です。しかし、まずは1年先、2年先に、いまよりも円安になるのか、それとも円高になるのかをしっかり分析して、自分なりの信念を持ってマーケットに対峙することが大事だと思っています。

 

そして、その信念に基づいて取ったポジションに間違がないと思うのであれば、含み損が生じても動じないこともまた、大切だと思います。もちろん、自らが動じなくとも、含み損が拡大して強制ロスカットされてしまうようであれば元も子もありませんから、そのような事態が生じないよう、過大なレバレッジはかけないようにするのが大切です。

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    本連載は、FX投資の事例を紹介することを目的にしています。投資を促したり、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、日本実業出版社、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

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