今回は、トレーダーが常にポジションを持っておくべき理由と、損をしないエントリー方法について見ていきます。※本連載は、投資番組の司会を担当するほか、投資家への投資ノウハウのインタビュー記事の執筆などで多数のファンを持つ、フリーアナウンサーの内田まさみ氏の著書、『FX億トレ! 7人の勝ち組トレーダーが考え方と手法を大公開』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋し、勝ち組トレーダーの考え方、手法などを紹介します。

貿易会社経営の実務を活かして
年間5000万円の利益を上げるスイングトレーダー

Gさん( 兵庫県在住の兼業トレーダー)
Gさんは、国内からアジア諸国へ工作機械を輸出する貿易会社を経営している40代の男性だ。海外とビジネスを行なう企業にとって、為替変動は頭を悩ます要因のひとつ。というのも、商取引はほぼ外貨で行なわれており、海外で得た利益は決算時期などに合わせて、外貨を売って円を買う取引(円転)をする必要がある。しかし、円転のタイミングで円高が進んでいれば、回収した代金は円建てで目減りすることになり、業績には悪影響を及ぼす。その為替リスクを軽減させるため、多くの企業では、円安だと思われる時期に「為替予約取引」を行なっている。Gさんは、その為替予約取引を通して相場観を磨き、FX取引でも利益を積み上げている。

ポジションを持たないと「相場に対する感覚」が鈍る

利食いの仕方は大台に乗ってスッキリしたときとメンタル重視なのですが、エントリーするときも、「自分の気持ちに素直に従う」という基準で注文を出します。

 

世間では「ポジポジ病」などと言われてしまうのかもしれませんが、私の場合、ポジションを持たない状態がしばらく続くと、どうも居ても立ってもいられないというか、寂しい気持ちになって、エントリーしてしまうのです。

 

ただ、常にポジションを持っていたいことに対して、自分なりの理由はあります。それは、本当に少額でもかまわないので、なんらかのポジションを持っていたほうが、自分自身のマーケットに対する感覚が鈍らないような気がするからです。ポジションをまったく持たないでいると、何がどうなったとしても、自分個人の財布の中身に影響も出ないので、相場に対する感覚が鈍るように思うのです。

 

もちろん、私の場合は本業の貿易にからんで為替相場を気にしていますから、常に経済ニュースにも関心を持ってはいるのですが、それでも自分個人の財布の中身がマーケットに直結しているのとしていないのとでは、気構えのようなものが違ってきます。

 

これは人づてに聞いた話ですが、金融機関などでトレードをしているプロの為替ディーラーのなかにも、最低額のポジションを常に持つようにしている人がいるそうです。その人曰く、「ポジションを持たずにいると、マーケットに対する感覚が鈍るから」ということだそうなので、私と同じ感覚だと思います。

勝つためには「大きな流れに逆らわない」エントリーを

もちろん、最低限の金額とはいっても、損はしたくありません。どれだけ少額だろうとも、ここで簡単に負けてしまうと、その後の取引にも負けグセがつくおそれがあります。ですから、どれだけ小さなポジションであったとしても、勝てるようなエントリーをし、淡々と利食いをするように心がけています。

 

そのためには、「長いトレンドに逆らわないようなポジションを持つ」ことが大事だと考えています。

 

たとえば今後、長期的には円高トレンドが続くだろうと考えているとして、いまの米ドル/円の水準が、まだ円安水準にあれば、迷わず米ドルの売りでエントリーします。長いトレンドに逆らわなければ、一時的にアゲインストになったとしても、再び戻ってきてくれます。だから、エントリーに際してまず大事なのは、大きなトレンドに逆らわないことです。

 

ただし、自分がポジションを持ちたいと思ったとき、長期的に円高トレンドだと予測しても、短期的に円安方向に振れると考えられるケースもあります。そういう場面では、長期的なトレンドにこだわらず、米ドルを買うこともあります。そこは柔軟に対応しますが、大きな流れが円高なのにドルを買う(円を売る)ということは、当然のことながらリスクは高くなりますから、大きなトレンドに逆らったポジションを持つときは、早めに利食い(あるいは損切り)をするように心がけています。

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