タックス・ヘイブン対策税制を意識した「統括会社」の活用方法

今回は、日本に帰属する所得を外国法人に移転させることを防ぐ「タックス・ヘイブン対策税制」の存在を踏まえ、無税国、低税率国、国外源泉所得非課税国、租税特典国に法人を設立するポイントなどについて見ていきます。

海外ミニ本社ともいえる「統括会社」

統括会社とは、持株事業会社や卸売事業会社で、次のすべての要件を満たす特定外国子会社等のことです。大胆にいえば、海外ミニ本社といった位置づけとなります。その条件は次の3点にまとめられます。

 

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①内国法人等に係る特定外国子会社等で、その内国法人等により発行済み株式等の全部を直接または間接に保有されていること(日本親会社の100%子会社であること)
②2社以上の被統括会社(日本親会社の孫会社)を有し、その被統括会社に対して統括業務を行っていること(統括対象が1社では要件不足)
③所在地国において統括業務に係る固定施設等および統括業務に従事する者(専ら統括業務に従事する者であって、その特定外国子会社等の役員およびその親族等を除く)を有すること(企業実体があること)

 

実体のある事業持株会社は他の適用除外基準をクリアすれば、また物流(卸)統括会社は非関連者基準以外の適用除外基準をクリアすれば、それぞれタックス・ヘイブン税制から外れます。また配当金の95%非課税も使えます。

 

統括会社はそのために利用されるのです。

複数の100%外国子会社を統括会社の子会社にできる!?

統括会社の統括業務は、被統括会社の生産・販売等の事業計画の作成・実施、事業方針の策定・指示・調整などの業務です。同時に、それらは統括会社と被統括会社との契約書にもとづいた業務である必要があります。

 

すでに複数の100%外国子会社がある場合に、それらを統括会社の子会社(日本親会社の孫会社)にする方法としては、まず、子会社株式を統括会社に売却する方法があります。しかしその場合、譲渡時にキャピタルゲインが発生すれば、事業譲渡類似株式の売却となり、租税条約によって子会社所在地国もしくは日本でキャピタルゲイン課税が発生してしまいます。

 

この事業譲渡類似株式というのは、日本法人の株式の25%以上を所有する株主が、その株式を年間5%以上売却した場合をいいます。ちなみに、日本と他国との租税条約では、たとえば対シンガポールでは日本に課税権があり、対香港では香港サイドが課税権を持つなど一様ではありません。

 

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次に、外国子会社株式を現物出資して統括会社を設立する方法があります。この現物出資が日本の適格現物出資(外国法人の発行済み株式等の総数の25%以上の移転)になれば、日本でのキャピタルゲイン課税の繰り延べができます。ただし、子会社所在地国でも課税の繰り延べができる現物出資制度の有無を調べる必要があります。

本連載は、2014年10月1日刊行の書籍『究極のグローバル節税』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載の内容に関しては正確性を期していますが、内容について保証するものではございません。取引等の最終判断に関しては、税理士または税務署に確認するなどして、ご自身の判断でお願いいたします。

古橋&アソシエイツ・税理士古橋事務所 代表

1954年生まれ。税理士。早稲田大学法学部卒業後、南山大学法学研究科修了、太田昭和アーンストアンドヤング株式会社(現・新日本アーンストアンドヤング税理士法人)などを経て独立。古橋&アソシエイツ・税理士古橋事務所代表。外資系企業の日本進出時の会計・税務や国内投資ファンドへの税務コンサルティング及び国内中小・中堅企業の海外事業進出、資産家に対する国際税務支援で多数の実績を有す。国外のネットワークを活かした最新の世界税務事情に基づくグローバル税務には、国内外で定評がある。著書に『富裕層の新納税術 海外タックス・プランニング』『海外納税のすすめ』『納税者反乱』(総合法令出版)など多数。

著者紹介

連載グローバル節税のための「タックス・ヘイブン」入門

究極のグローバル節税

究極のグローバル節税

古橋 隆之 + GTAC

幻冬舎MC

世界でも高い法人税率の日本。安倍内閣はようやく法人税率引き下げをうたうも、どの程度の引き下げかは不透明だ。さらに一方では、中小企業への徴税強化、高額所得者には厳しい所得税率アップ、相続税の改定もある。 かたやあ…

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