海外財産の相続税——課税対象者と課税財産の規定とは?

前回は、日本の居住者が海外投資を行った場合の節税法について説明しました。今回は、海外財産における相続税の課税対象者などについて見ていきます。

税法上は無制限納税義務者と制限納税義務者に大別

日本の相続税の国際的側面について簡単に説明すると、課税対象はまず2つに大別されます。所得税法上で「居住者」に相当するものが、相続税法では「無制限納税義務者」、「非居住者」に「制限納税義務者」が担当します。

 

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●無制限納税義務者
無制限納税義務者はさらに2つに分かれます。日本に居住し、かつ生活の本拠(住所)がある人は「居住無制限納税義務者」になり、親の財産が日本にあっても海外にあっても、すべて日本の相続税・贈与税がかかります。

 

「非居住無制限納税義務者」とは、相続等により財産を得た日本国籍がある個人で、その財産取得時から見て相続開始前5年以内に、相続人と被相続人が国内に住所があった人です。この場合も遺産が世界のどこにあろうが日本の相続税がかかります。

 

●制限納税義務者
一方、制限納税義務者は相続等で財産を取得した人で、その取得時点で日本国内に住所を持っていない人(非居住無制限納税義務者を除く)をいい、日本の国内財産だけに相続税等がかかります。国外財産の相続には相続税はかかりません。

 

また相続人に日本国籍がなければ、相続等で財産を取得した時点で5年以内に日本に住所があったとしても、相続した国外財産には日本の相続税はかかりません。しかし、2013年度税制改正によって、同年4月1日以降は、日本国内に住所を有しない個人で、日本国籍のない人(国際結婚で外国籍になって海外に住む個人)が、国外財産を相続等した場合も日本の相続税等の対象になりました。

 

現在の相続税法では、海外財産の贈与や相続にかかわる相続人と被相続人などがともに5年以上海外に住んでいなければ、相続財産が海外にあり、相続人がその国に居住している場合でも、日本で相続税や贈与税がかかることになります。つまり、親も子も5年以上海外に住んでいない限り、相続税や贈与税がかかるわけです。

相続税の課税対象は財産の所在地によって変わる

相続税法第10条では、日本に財産があるとみなされる条件が規定されています。たとえば不動産の所在地では、日本に不動産があれば当然、日本国内に相続税がかかる財産があるとみなされます。

 

また、日本の銀行の支店、もしくは外国銀行の日本の支店に預貯金がある場合も、日本に財産があるとみなされます。同じように、貸付金の債務者が日本国内に本店登記している企業や、日本に住む個人である場合は、その貸付金も日本国内の財産とみなされ、日本国の課税対象となります。

 

有価証券に関しても、日本国内に本店を設立登記している会社の株式は、すべて日本国内にある財産とみなされます。こうした点は下記の図を参照して下さい。

 

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【財産の所在の判定】

出典 国税庁HP
 

本連載は、2014年10月1日刊行の書籍『究極のグローバル節税』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載の内容に関しては正確性を期していますが、内容について保証するものではございません。取引等の最終判断に関しては、税理士または税務署に確認するなどして、ご自身の判断でお願いいたします。

古橋&アソシエイツ・税理士古橋事務所 代表

1954年生まれ。税理士。早稲田大学法学部卒業後、南山大学法学研究科修了、太田昭和アーンストアンドヤング株式会社(現・新日本アーンストアンドヤング税理士法人)などを経て独立。古橋&アソシエイツ・税理士古橋事務所代表。外資系企業の日本進出時の会計・税務や国内投資ファンドへの税務コンサルティング及び国内中小・中堅企業の海外事業進出、資産家に対する国際税務支援で多数の実績を有す。国外のネットワークを活かした最新の世界税務事情に基づくグローバル税務には、国内外で定評がある。著書に『富裕層の新納税術 海外タックス・プランニング』『海外納税のすすめ』『納税者反乱』(総合法令出版)など多数。

著者紹介

連載グローバル節税のための「タックス・ヘイブン」入門

究極のグローバル節税

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古橋 隆之 + GTAC

幻冬舎MC

世界でも高い法人税率の日本。安倍内閣はようやく法人税率引き下げをうたうも、どの程度の引き下げかは不透明だ。さらに一方では、中小企業への徴税強化、高額所得者には厳しい所得税率アップ、相続税の改定もある。 かたやあ…

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