海外資産管理会社を設立して個人財産を守る方法

前回は、海外財産における相続税の課税対象者について説明しました。今回は、個人資産を防衛するために海外資産管理会社を活用する方法を見ていきます。

上場企業からの配当が免税になるケースも

個人財産を管理するために、海外に資産管理会社を設立することもあります。日本でもオーナー型の上場企業の社長が、上場自社株式を資産管理会社に移転している例は少なくありません。

 

 

この資産管理会社のメリットには、相続によって会社への議決権が分散することを防ぎ、また、上場株式の含み益について、資産管理会社の株式評価の際、40%圧縮できることなどが挙げられます。また、オーナーファミリーが資産管理会社の役員になれば、ファミリーへの給与支払いで会社の収入を分散できる、などの利点もあります。また上場企業からの配当も、受取配当金の益金不算入によって、50%または100%の免税になります。

 

こうしたメリットは、実際は海外資産管理会社の設立だけではすべて達成できるわけではありません。もっとも最後の点については、「オランダ持株会社」を設立することが有効です。

一定の要件を満たせば法人税の免税も可能

オランダでは持株会社も含めてすべての法人は、一定の要件を満たした株式所有から生まれる現金配当、現物配当、みなし配当や株式キャピタルゲイン等について、法人税が免税されています。一定の要件とは以下の通りです。


①関係会社の額面払込資本の5%以上保有していること
②関係会社はオランダ投資会社でないこと
③関係会社株式を流動資産として保有しないこと
④関係会社がその所在地国で課税されること
⑤関係会社株式がポートフォリオ投資のために保有されないこと

 

日本でも海外からの配当については同様の免税制度がありますが、25%の持株保有が必要で要件が厳しくなっています。

 

日本人オーナー社長がオランダ持株会社を利用するためには、自社株式を譲渡または現物出資で持株会社に移転することになります。譲渡の場合、会社に買い取り資金を貸し付ける必要があるので、現物出資になることが多いといえます。現物出資時には株式の譲渡所得税がかかるので、確定申告および納税資金を捻出する必要があります。

 

しかし、オランダ持株会社に移転した株式への配当は、当然、日本の個人の申告分離課税や総合課税の対象となる配当所得にはなりません。また、持株会社の留保利益については、日本タックス・ヘイブン対策税制も適用されません。ただし、オランダ持株会社が関係会社株式を譲渡してキャピタルゲインが出た場合には対策税制が適用されます。

 

 

こうしたオランダの制度を資本参加免税制度といいますが、オランダ以外にもベルギー、ルクセンブルグ、オーストリア、スペインなどに同様の制度があり、日本のタックス・ヘイブン対策税制は適用されません。

本連載は、2014年10月1日刊行の書籍『究極のグローバル節税』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載の内容に関しては正確性を期していますが、内容について保証するものではございません。取引等の最終判断に関しては、税理士または税務署に確認するなどして、ご自身の判断でお願いいたします。

古橋&アソシエイツ・税理士古橋事務所 代表

1954年生まれ。税理士。早稲田大学法学部卒業後、南山大学法学研究科修了、太田昭和アーンストアンドヤング株式会社(現・新日本アーンストアンドヤング税理士法人)などを経て独立。古橋&アソシエイツ・税理士古橋事務所代表。外資系企業の日本進出時の会計・税務や国内投資ファンドへの税務コンサルティング及び国内中小・中堅企業の海外事業進出、資産家に対する国際税務支援で多数の実績を有す。国外のネットワークを活かした最新の世界税務事情に基づくグローバル税務には、国内外で定評がある。著書に『富裕層の新納税術 海外タックス・プランニング』『海外納税のすすめ』『納税者反乱』(総合法令出版)など多数。

著者紹介

連載グローバル節税のための「タックス・ヘイブン」入門

究極のグローバル節税

究極のグローバル節税

古橋 隆之 + GTAC

幻冬舎MC

世界でも高い法人税率の日本。安倍内閣はようやく法人税率引き下げをうたうも、どの程度の引き下げかは不透明だ。さらに一方では、中小企業への徴税強化、高額所得者には厳しい所得税率アップ、相続税の改定もある。 かたやあ…

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