不動産管理会社を利用したグローバル節税の一例

前回は、個人資産を防衛するために海外資産管理会社を活用する方法を説明しました。今回は、個人所有の不動産を資産管理会社に譲渡して実施する「グローバル節税」の一例を紹介します。

不動産管理会社に所有権を移行するメリットとは?

国内および国外に多数の不動産を所有する個人が不動産管理会社を持っている場合について考えます。不動産管理会社の株式(出資)は、将来価値が上がることが見込まれるため、不動産所有者の子や孫が相続するのが一般的です。

 

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オーナー個人所有の不動産を資産管理会社に譲渡して、会社の資産とします。譲渡して譲渡益が出れば所得税の対象ですので、なるべく含み益のない不動産を売却することになります。または、含み損のある不動産と合わせて売却すれば、損益通算で譲渡益はゼロにすることもできます。

 

買い入れ側の会社には、不動産取得税や登録免許税がかかります。会社に購入資金がない場合は、分割払いとなります。オーナー個人への貸付金等があれば、それと購入代金を相殺できます。こうして不動産の所有権は個人から不動産保有会社に移行します。この不動産保有会社の株式等の相続税評価額は、土地の割合が多い場合は会社の規模(相続税法上)によって高くなります。

 

ここで、株主である相続人の子が香港やアイルランドに移住できるのであれば、不動産保有会社の株式等を現地で現物出資して新会社を設立すると、日本の不動産保有会社は外国会社の子会社となります。

香港、アイルランドとの租税条約なら・・・

海外の税制では現物出資は一般に非課税ですが、日本の会社株式の個人による現物出資は、日本の税務上は売却になるため、日本でその譲渡益に課税されます。しかし、香港との租税条約では、不動産保有会社の資産のうち、日本国内の土地・建物等の不動産が50%未満であれば、課税権は香港にあることになります。

 

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アイルランドとの租税条約では、不動産保有会社の株式についてのこうした規程がなく、日本ではなくアイルランドで課税されることになっています。また、香港では贈与税がないため、新会社の株式を贈与しても非課税です。ただし、日本側では、移住して5年以上経たないと贈与税が課税されます。

本連載は、2014年10月1日刊行の書籍『究極のグローバル節税』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載の内容に関しては正確性を期していますが、内容について保証するものではございません。取引等の最終判断に関しては、税理士または税務署に確認するなどして、ご自身の判断でお願いいたします。

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古橋&アソシエイツ・税理士古橋事務所 代表

1954年生まれ。税理士。早稲田大学法学部卒業後、南山大学法学研究科修了、太田昭和アーンストアンドヤング株式会社(現・新日本アーンストアンドヤング税理士法人)などを経て独立。古橋&アソシエイツ・税理士古橋事務所代表。外資系企業の日本進出時の会計・税務や国内投資ファンドへの税務コンサルティング及び国内中小・中堅企業の海外事業進出、資産家に対する国際税務支援で多数の実績を有す。国外のネットワークを活かした最新の世界税務事情に基づくグローバル税務には、国内外で定評がある。著書に『富裕層の新納税術 海外タックス・プランニング』『海外納税のすすめ』『納税者反乱』(総合法令出版)など多数。

著者紹介

究極のグローバル節税

究極のグローバル節税

古橋 隆之 + GTAC

幻冬舎MC

世界でも高い法人税率の日本。安倍内閣はようやく法人税率引き下げをうたうも、どの程度の引き下げかは不透明だ。さらに一方では、中小企業への徴税強化、高額所得者には厳しい所得税率アップ、相続税の改定もある。 かたやあ…

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