今回は、農業投資価格等の評価を含む相続税の計算・申告事例を見ていきます。※本連載は、税理士の松本 繁雄氏の著書、『相続・贈与の実務 法務から税務対策まで』(経済法令)の中から一部を抜粋し、相続税額の計算方法や、相続税申告書の作成方法などをご紹介します。

農地を通常価額で評価した場合は・・・

(1)農地を通常価額で評価した場合(申告書第2表)

 

①課税価格の合計額

664,714千円

 

②遺産にかかる基礎控除額

3,000万円+600万円×5(法定相続人数)=6,000万円

 

③課税遺産総額

664,714千円-60,000千円=604,714千円

 

④課税遺産総額の法定相続人の法定相続分に応ずる取得金額(1,000円未満切捨て)(申告書第2表⑥)

 

⑤取得金額に応ずる税額(申告書第2表⑦)

イ:花子……302,357千円×50%-42,000千円=109,178,500円

ロ:一郎、良子、明夫、平夫……75,589千円×30%-7,000千円=15,676,700円

 

⑥相続税の総額(100円未満切捨て)

109,178,500円+15,676,700円×4=171,885,300円

農業投資価格で評価した場合は・・・

(2)農業投資価格で評価した場合(申告書第2表)

 

①課税価格の合計額

395,714千円

 

②遺産にかかる基礎控除額

3,000万円+600万円×5(法定相続人数)=6,000万円

 

③課税遺産総額

395,714千円-60,000千円=335,714千円

 

④課税遺産総額の法定相続人の法定相続分に応ずる取得金額(1,000円未満切捨て)(申告書第2表⑨)

 

⑤取得金額に応ずる税額(申告書第2表⑩)

イ:花子……167,857千円×40%-17,000千円=50,142,800円

ロ:一郎、良子、明夫、平夫……41,964千円×20%-2,000千円=6,392,800円

 

⑥相続税の総額(100円未満切捨て)(申告書第2表⑪)

50,142,800円+6,392,800円×4=75,714,000円

 

[図表]申告書第2表

 

本連載は、2017年6月24日刊行の書籍『相続・贈与の実務 法務から税務対策まで』(経済法令研究会)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続・贈与の実務 法務から税務対策まで

相続・贈与の実務 法務から税務対策まで

松本 繁雄

経済法令研究会

相続税は、平成27年度の税制改正に伴う、納税者の大幅増加と租税回避への動向に効果的に対応する観点から、平成29年度の改正では、①相続税・贈与税の納税義務の見直し、②財産(土地、株式等)の評価方法の適正化、③物納財産…

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