日本で唯一の公共放送であるNHK。そこでふと「公共放送ということは、NHK職員は公務員なの?」という疑問がわいてきます。またNHKといえば「職員はかなりの高給取り」という噂も。NHKにまつわる疑問や噂についてみていきます。
NHKは公共放送だが「NHK職員は公務員」なのか?平均給与「1,000万円超え」の噂も検証 (※写真はイメージです/PIXTA)

NHK職員の給与事情…民間企業と比較すると

受信料のほか、NHKに関しては「職員がとてつもない高給取り」という噂もよく耳にするでしょう。その根拠となったのが、2011年に行われた国会質疑。NHKの人件費削減について国会議員が追及するなか発せられた

 

――総人件費を総従業員数で割ると、これには退職金やいろいろな厚生費も入っていますが、年間1777万円。

 

という部分がひとり歩きし、「NHK職員の給与=1,000万円級」というイメージが定着しました。この国会議員が参考にしたであろう、NHK『収支予算、事業計画及び資金計画に関する資料』の最新版をみていくと、以下のような記述があります。

 

給与予算(2023年度):1,124億6,035万3,000円

要員数:1万0,268人

平均年齢:41.7歳、平均勤続年数:17.9年、性別構成:男性78.0%、女性22.0%

 

そこから単純計算すると、1人あたり1,095万2,508円。2011年当時と比較するとだいぶ下がりましたが、この計算方法では、確かに平均給与は1,000万円を超えます。

 

――やっぱりNHK職員、高給取りじゃん!

 

と思うかもしれませんが、上記の計算の元になった給与予算には、当時の議員も指摘している通り、退職金の積み立て費用や福利厚生費、そのほか社会保険料や雇用保険などの費用、交通費などの諸経費が含まれています。

 

NHK『職員の給与等の支給基準』によると、大卒モデル年収は「30歳で530万円、35歳で660万円」(2022年度)。また基本給や諸手当から、一般職員の主任・係長級で年収600万~700万円、管理職となり課長級の全国職員で900万円、地域職員で700万円、部長級の全国職員で1,100万円、地域職員で900万円程度と推測されます。

 

この給与水準、一般の民間企業と比較するとどうなのでしょうか。関連会社も含めてですが、NHKの職員は1万人を超えるので、大企業勤務の大卒社員と比べてみましょう。厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』によると、大企業大卒(男女計/平均年齢41.9歳)の平均給与は月収で44.3万円、年収で769.6万円。また「30代前半」の平均年収は596.6万円、「30代後半」では705.9万円です。これらと比較してみても、NHK職員の給与が特別高いということではないようです。

 

[参考資料]

PLAN-B/カジナビ『年末年始の過ごし方に関するアンケート』

NHKウェブサイト『よくある質問/NHKとはどういう事業体なのか』

NHK『日本放送協会令和5年度収支予算、事業計画及び資金計画に関する資料』

NHK『職員の給与等の支給の基準』

厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』