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高い運用実績を残しているハーバード大学やエール大学
ハーバード大学やエール大学など米国の名門大学では、財団や基金を設立して集めた寄付金等を運用しています。これら大学基金のことを「エンダウメント」と呼びますが、エンダウメントにおける運用スタイルは、その高い運用実績から注目を集めています。
例えばハーバード大学基金での2014年度のリターンは15.4%で、過去20年間の平均リターンは12.3%です。つまり、1994年に運用を始めたとして、20年後の2014年には資産が10倍以上に増えたという実績です。
エール大学基金でも、1994年からの20年間での年間平均リターンは13.9%です。金融危機を挟む2004年以降の10年間に区切ってみても、年平均リターンは11.0%と高い数値をマークしています。
では何故、このような高いパフォーマンスを残すことが出来たのでしょうか。その理由には主に4つの点が指摘されます。
①分散投資の徹底
ハーバード大学基金の2015年のアロケーションを見てみると、米国株11%、海外株11%、新興市場株11%、PEファンド 18%、 天然資源11%、不動産12%、絶対収益型ヘッジファンド14%、債券10%となっており、グローバル分散投資が徹底されていることが分かります。
②オルタナティブ投資の活用
投資対象を株や債券に限定することなく、PEファンド、資源、不動産、ヘッジファンドなどのオルタナティブ投資も積極的に行っています。
③長期投資を徹底
大学基金は寄付金を基に構成されています。つまり元本は、一般的なファンドなどと違って、返済義務のない自己資金です。そのために長期での運用が可能であり、短期的な市場の変動に動じて無駄な損切りをする必要がなく、インフラ投資などの長期的に資金回収を行う投資も可能になっています。
④運用を外部に委託
投資対象ごとに、優秀な外部の運用会社に運用を委託しています。個別の運用はそれぞれ得意としているプロに任せ、大学基金はポートフォリオのアロケーションに注力しています。
エンダウメントの投資スタイルは個人投資家も参考可能
エンダウメントによる投資スタイルの特徴である上記4点は、個人投資家でも実践することができるものです。特に、個人の運用資金も自己資金であり、長期運用が可能である点が共通項として大きいでしょう。大学基金と同様に、よい運用会社を選んで、じっくり長期で保有することが大切となります。
長年にわたって、すばらしいパフォーマンスを上げている大学基金ですが、資産規模はハーバード大学基金が345億ドル(1ドル110円換算で約3兆8000億円)、エール大学基金が255億ドル(約2兆8000億円)です。ハーバード大学では、年間の寄付金額は800億円程度なので、これまでの運用実績から巨大な基金に成長したことが分かります。
ちなみに日本の大学の場合では、東京大学の基金が約100億円、慶応義塾大学が約481億円、早稲田大学が約274億円となっています。個人の金融資産運用と同様、大学基金の運用でも海外に比べて遅れている状況であり、今後の進展に期待がなされます。
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