長寿化が進む現代、75歳以上の医療費が見直され、一定所得がある層の窓口負担が引き上げられました。十分な年金があっても、持病や通院が重なれば家計は一気に赤字へ転落しかねません。「長生きは罰ゲームなのか」と苦悩するある男性の姿から、後期高齢者を待ち受ける医療費負担の落とし穴と、老後の防衛策を考えます。
「長生きは罰ゲームなのか…」75歳元会社員、年金月18万円でも毎月赤字…医療費2割負担で減り続ける貯蓄に怒り ※写真はイメージです/PIXTA

「長生きは罰ゲームなのか」…減り続ける預金残高への不安

定年退職時に約1,200万円あった預金は、亡妻の看病や自宅の修繕費などに充てたこともあり、現在は500万円近くまで減っています。毎月3万円前後の赤字が続けば、年間では約36万円。今後も貯蓄を取り崩す生活が続くことに不安を感じています。

 

「病院に行くのを控えようと考えたこともあります。でも、薬をやめれば血圧が上がるし、リハビリをやめれば歩くのも難しくなる。生きるために通院しているのに、貯金が減っていくのはつらいです」

 

厚生労働省『2025年 国民生活基礎調査の概況』によると、75歳以上の通院者率は人口千人当たり707.6人と約7割に上り、持病を抱えて通院を余儀なくされる高齢者は少なくありません。一方で、65歳以上の世帯で前年より「貯蓄が減った」割合は41.3%に達し、その減額理由の80.8%を「日常の生活費への支出」が占めています。

 

「現役時代は税金も保険料も欠かさず納めてきました。それなのに、老後がこんなに大変だとは……長生きすること自体が罰ゲームのように感じてしまいます」

 

内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』によると、日常の支出で預貯金を取り崩すことがある高齢者は61.2%に上ります。また、経済的な不安要素として「物価の上昇」(74.5%)や「医療・介護費用の負担」(36.6%)が挙がっています。必要とされる支援として「医療費・健康関連の支援」を挙げた人は87.5%に達しており、高齢者の家計を支える公的支援の強化が求められています。