「最期まで穏やかに暮らしたい」…年金月約23万円の80代夫婦の望みが崩れ去った日

マサアキさん(仮名・82歳)とケイコさん(仮名・81歳)は、月約23万円の年金で平穏な毎日を送るおしどり夫婦です。

日常生活費は年金の範囲内で賄い、築50年になる家の維持費や車の買い替えなど、まとまった支出があるときだけ貯金約1,200万円を取り崩して生活しています。そんな夫婦の望みは「このまま自宅で最期まで穏やかに暮らしたい」、ただそれだけでした。

ところが、ある日前触れもなく突然、その願望は打ち砕かれてしまいます。

妻と成人した娘と隣県に住んでいるはずの一人息子のアツシさん(仮名・53歳)が、35年ぶりに実家に舞い戻ってきたことで、生活が一変したのでした。

頻繁に連絡を取り合う仲ではなく、アツシさん夫婦の暮らしぶりを把握していませんでしたが、「便りがないのは良い便り」と楽観視していました。

しかしある日突然、アツシさんが実家に現れ、「父さん、ただいま。悪いけど、しばらく世話になる」と告げて上がり込んできたのです。

離婚して、無職…35年ぶりに帰郷した「氷河期世代・53歳息子」の告白

35年ぶりの親子水入らずの夕食。話が弾むどころか、何を話したらいいのかわからないまま食事も終盤になりました。見かねたマサアキさんが事情を問いただすと、アツシさんは重い口を開き、離婚して家を追い出され、現在は無職であることを打ち明けました。

アツシさんの話では、もう何年も前から夫婦仲はうまくいっていなかったとのこと。主な原因はアツシさんの仕事のことでした。

就職氷河期世代であるアツシさんは新卒での就職活動に苦戦し、ようやく就いた仕事も長続きせず、これまで何度も転職を繰り返していたというのです。

後先考えず辞めるので無職の期間もあったようで、生活はいつもカツカツ。当然、貯金をするような余裕もなく、そのことで夫婦喧嘩が絶えなかったとのこと。そして、一人娘が就職したのを機に離婚を言い渡されてしまったのでした。