「子どもが困っていれば助けてあげたい」「孫のために支援したい」と考えるのは、親として自然な感情かもしれません。しかし、求められるがままに子世帯への援助を続けていると、思いもよらぬ「老後破綻の危機」や「きょうだい間のトラブル」を招いてしまうこともあります。本記事では合計1,500万円以上の援助を行った70代夫婦の事例をもとに、老後資金を削ってまで子世帯へ資金援助をするリスクについて、CFPの山﨑裕佳子氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「娘より孫が可愛いんでしょ?」40歳長女の一言が“老後破綻”の引き金に…年金月27万円・70代夫婦が〈5年で1,500万円〉失ったワケ【CFPの助言】
別居生活を満喫する〈年金月6万円〉70歳女性の「対照的な2人の娘」
2年前から73歳の夫と別居生活をしているヨシミさん(仮名・70歳)。夫とは月に数回会う程度の距離感が心地よく、夫婦仲は良好だといいます。
結婚後に購入した神奈川県郊外のマイホームで暮らしている一方で、夫は実親から相続した23区内の実家マンションを生活の拠点としています。ヨシミさんの生活費は夫が毎月定額を送金してくれているため、自身が受け取る月額6万円の年金は全額お小遣いとなっています。
そんなヨシミさん夫婦には、すでに独立した娘が二人います。
長女のマコさん(仮名・40歳)は、都内暮らしの会社員。公私共に忙しく、長期休みには海外で過ごすことも多く、最後に実家へ顔を出したのは5年前です。そんな娘を心配したヨシミさんは、時々LINEで生存確認だけしています。
一方、次女のリコさん(仮名・36歳)は、10年前に結婚し、今では8歳、6歳、3歳の男の子を育てる母親になっています。3年前に、実家近くの建売住宅を購入し、引っ越してきたリコさん一家。母のヨシミさんに、育児をサポートしてもらうのが目的でした。そのため、ヨシミさんとリコさんはほぼ毎日顔を合わせています。
ヨシミさんの今の生活は、リコさん一家に振り回される毎日となっています。住居自体は別々とはいえ、ヨシミさんはほぼ毎日孫の世話や買い出しを頼まれ、「一緒に暮らしているのと何ら変わらない状況」でした。
3人の孫のための出費もかさむため、気がつけば自由に使えるはずの年金6万円の半分は、リコさん一家のために使っている状態でした。