(※写真はイメージです/PIXTA)
選択肢4:何もしない
そして、4つ目の選択肢が「何もしない」です。
これは、金利上昇を無視するという意味ではありません。返済額をシミュレーションし、家計や預貯金、教育費、団信などを確認したうえで、あえて今は借り換えも繰り上げ返済もしないという判断です。
また、インフレとの関係も考えたいところです。例えば、物価上昇率が年2%なら、住宅ローン金利が年3%でも、実質金利は約1%です。インフレによって借金の実質的な価値も目減りするため、金利上昇だけを理由に繰り上げ返済を急ぐ必要はありません。
金利が上昇する局面では、給与や不動産価格も上昇していることがあります。給与が増えれば返済負担は相対的に軽くなり、住宅の価値が上昇すれば資産面でもプラスになります。もちろん、すべての人の給与が上がるわけでも、すべての不動産が値上がりするわけでもありません。だからこそ、住宅購入時の物件選びも重要なのです。
住宅ローン金利が上がったからといって、慌てて借り換えや繰り上げ返済をする必要はありません。
借り換え、金利交渉、繰り上げ返済、何もしない。
4つの選択肢を比較し、ご夫婦の今後の生活も含めて説明しました。相談を終えたご夫婦は、「とても気が楽になりました」と言って帰っていかれました。
住宅ローンは借りて終わり「ではない」
「住宅ローンは借りて終わりではないですよ」
住宅ローンの相談で、こんなお話をすることがあります。
「住宅ローンは借りて終わりではないですよ。銀行とは借りてからも話ができますよ」と伝えると、驚かれることが少なくありません。住宅ローンは、一度契約したら完済まで同じ条件で返済するものだと思っている人も多いようです。
もちろん、銀行との取引は借りたあとも続きます。他行の住宅ローンと比較し、現在借りている銀行に金利の引き下げを相談することも、一つの方法です。
ただし、すべての銀行が金利交渉に応じるわけではありません。銀行によって方針は異なり、交渉しても引き下げに応じてもらえない場合があります。また、借入当初から勤務先や収入などの属性が変わっている場合には、交渉の進め方にも注意が必要です。
他行への借り換えが難しい状況で、安易に「借り換えます」と持ちかけるのは避けたいところです。現在の適用金利や優遇条件、他行への借り換え可能性などを確認したうえで、慎重に判断する必要があります。
金利交渉が成立すれば、借り換えに伴う諸費用を抑え、現在の団信を維持できることもメリットです。
金利が上昇した場合の返済額がわかれば、とるべき対策が見えてくる
「金利が上がるかもしれない」と聞くと、住宅ローンの返済に不安を感じてしまう人は多いかと思います。しかし、焦って動き出す前に、まずは金利が上がった場合の返済額をシミュレーションすることが重要です。
金利上昇後の返済額がわかれば、「借り換え」「金利交渉」「繰り上げ返済」「何もしない」のいずれの対策をとるべきかが見えてきます。市場の動きに振り回されすぎることなく、ご自身の状況に合った選択肢を見つけていただければと思います。
竹下 昌成
竹下FP事務所 代表
日本FP協会認定CFP・TAC講師