入学祝いやお年玉、進学資金の援助額など、目に見える「金額の差」として突きつけられる孫差別は、受ける側にとって耐えがたい屈辱となります。愛情の多寡が金銭格差として可視化されたとき、深刻なトラブルに発展していくことも……。事例を見ていきましょう。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したものです。
「今度はしゃぶしゃぶがいいな」〈世帯年収1,200万円〉弟夫婦の娘の七五三にも当然のように参加する46歳女性…家族が心配する「彼女の老後」 (※写真はイメージです/PIXTA)

七五三の食事会に、当然のように参加する義姉

神奈川県内で暮らす萌さん(42歳・仮名)は、会社員の夫(44歳)と7歳の長女、4歳の長男の4人家族です。夫婦ともにフルタイムで働いており、世帯年収は約1,200万円。住宅ローンを返済しながら、子どもたちの教育費や将来のための貯蓄にもお金を回しています。

 

この秋、長女の七五三を祝うことになりました。神社でご祈祷を受け、記念撮影をしたあと、近くの飲食店で食事会を開く予定です。夫の両親も招待することになり、日程を相談していたときのこと。夫が、姉も参加することになったと伝えてきました。さらに、義姉がしゃぶしゃぶを食べたいと言っていることも付け加えたのです。

 

夫の姉は46歳の独身女性で、現在も両親と実家で暮らしています。以前は正社員として働いていましたが、数年前に退職し、現在は非正規雇用で事務の仕事をしています。

 

義姉が家族行事に参加するのは、今回が初めてではありません。子どもたちの誕生日や入園祝い、義両親を交えた食事会など、義両親を誘うと多くの場合、義姉も一緒についてきます。

 

萌さんも、義姉が参加すること自体を問題だとは思っていません。しかし、気になるのは、義姉が食事の内容について積極的に希望を伝えてくることです。以前、長男の誕生日を祝った際には、義姉から洋食を希望されました。また別の機会には「最近イタリアンが続いたから、今度はお寿司がいいな」と言われたこともあります。

 

「子どものお祝いなのに、義姉の食べたいものを聞いているわけじゃないんですけどね。義両親を招くと、なぜか義姉もセットになっているんです」

 

もちろん、店選びでは子どもたちの希望を優先しています。それでも、招待する側への遠慮が感じられない義姉の態度に、萌さんは少しずつ不満を募らせていました。

お祝いはないのに、食事のリクエストは積極的

萌さんが特に引っかかっているのは、義姉が子どもたちとそれほど親しいわけではないことです。食事会に参加しても、子どもたちに積極的に話しかけたり、一緒に遊んだりすることはほとんどありません。こちらから話しかければ普通に応じますが、自分から会話を広げることは少なく、スマートフォンを見ている時間も長いといいます。

 

今回の七五三でも、長女の着物姿を褒めたあとは、特に会話に加わることもなく、食事を楽しんでいたそうです。食事会の代金は、萌さん夫婦が全額負担しました。義両親を招待しているため、費用を出すこと自体に不満はありません。しかし、毎回義姉の分まで支払うことには、釈然としないものがあります。

 

というのも、義姉から子どもたちへのお祝いをもらったことが、ほとんどないからです。出産祝いや誕生日プレゼントもなく、七五三のお祝いもありませんでした。義姉は年末年始も趣味のアイドルのコンサートや友人との旅行で家を空けることが多く、子どもたちにお年玉を渡す習慣もありません。

 

萌さん自身、お祝いの金品は必ず渡さなければならないものではないと考えています。ただ、普段は子どもたちと積極的に交流しない一方、食事会には欠かさず参加し、メニューの希望まで伝えてくる義姉に、疑問を感じるようになったのです。

 

夫にも、義姉には自分の食事代くらい負担してもらってもよいのではないかと伝えたことがあります。しかし、夫は姉の収入がそれほど多くないことを理由に、これまで通り自分たちが支払えばよいと考えているようでした。

推し活でお金を使い、足りなくなると単発バイトへ

義姉は長年、あるアイドルグループのファンで、全国各地のコンサートに足を運んでいます。遠征の際はホテルに宿泊し、友人たちと観光や食事も楽しんでいるそうです。萌さんは、その趣味自体を否定するつもりはありません。独身で自由に使える時間があり、自分で稼いだお金を好きなことに使うのは、本人の自由だと思っています。

 

ただ、最近になって気になる話を耳にしました。義母によると、義姉はコンサートや旅行で出費がかさんだ月には、休日に単発のアルバイトを入れているというのです。倉庫での軽作業やイベントスタッフなど、空いた日に働ける仕事を探し、趣味に使ったお金を補っているようでした。

 

単発バイトをすること自体に問題があるわけではありません。むしろ、必要なお金を自分で稼ごうとしているともいえます。しかし、萌さんは義姉の将来が心配になりました。

 

義姉が実家にどれくらい生活費を入れているのか、貯蓄がいくらあるのかは知りません。また、非正規雇用とはいえ、勤務先の社会保険に加入している可能性もあり、将来受け取る年金額についてもわからないことばかりです。それでも、46歳になって趣味の出費を補うために単発バイトをしていると聞くと、老後に向けた備えはできているのだろうかと考えてしまうのです。