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家賃を抑えるための転居…しかし、息子夫婦との同居も難しく
由美子さんは不動産会社に相談し、家賃の安い物件を探し始めました。ところが、希望する条件に合う物件は簡単には見つかりません。高齢であることや、年金収入を中心に生活していることを伝えると、申し込みを進められないケースもあったといいます。
「家賃を下げたいだけなのに、部屋を借りること自体が難しいとは思っていませんでした。貯金がたくさんあるわけでもないので、無理な家賃の物件を選ぶこともできません」
国土交通省の資料では、賃貸人の約7割が高齢者の入居に何らかの拒否感を示した調査結果があります。高齢者の入居をめぐっては、家賃の支払いだけでなく、居室内での死亡事故などへの不安も課題となっています。ただし、これは調査時点の結果であり、すべての大家が高齢者の入居を断っているという意味ではありません。高齢者の入居を拒まない「セーフティネット登録住宅」なども整備されています。
転居先がなかなか決まらず、由美子さんが次に頼ろうとしたのは、近隣に住む一人息子の家族でした。
息子の翔太さん(仮名・38歳)は会社員で、妻と子ども2人の4人暮らしです。由美子さんは、当初から同居を希望していたわけではありません。新しい住まいが見つかるまでの間だけでも、息子の家で暮らせないかと考えたのです。
翔太さんに相談すると、息子自身は一時的な同居に前向きでした。しかし、妻の反応は違いました。
「お義母さんと暮らすのは無理よ。うちだって子どもがいて、余っている部屋もないのよ」
妻からそう告げられ、翔太さんもすぐには結論を出せなくなりました。住まいの広さや生活時間の違い、家事の分担など、同居するとなれば話し合わなければならないことは少なくありません。由美子さんも、息子夫婦の家庭に無理をさせてまで住まわせてほしいとは言えませんでした。
「息子が助けてくれようとしたのはありがたかったです。でも息子家族にも生活があります。私がお願いしたことで、二人がけんかになるのも嫌でした」
夫を亡くした悲しみに加え、住まいの問題まで一人で考えなければならなくなった由美子さん。結局、転居が実現したのは、夫の死から1年近くが経過した後のことでした。
夫婦で生活しているときには、年金収入の合計額から家計を考えがちです。しかし、配偶者が亡くなった後の収入は、遺族年金の受給要件や本人の年金額によって変わります。住居費のように簡単には減らせない支出がある場合、収入の減少が暮らしに与える影響は小さくありません。
老後の生活設計では、夫婦で暮らす場合だけでなく、一人になった場合の収入と支出も確認しておくことが重要です。