親の高齢化に伴い、子ども世帯が生活の支援や介護を担うケースは少なくありません。しかし、親族だからといって、どこまで負担するのが当然なのでしょうか。金銭面の援助、日々の家事、通院の付き添い――家族の間で明確な取り決めがないまま、負担が一人に偏ることもあります。ある家族の事例から、同居家族の支援や介護の在り方について考えます。
「お義父さん、こんなこと言いたくないのですが…」月収38万円・44歳嫁が、同居する義父に突きつけた「譲れない条件」 ※写真はイメージです/PIXTA

家族だからこそ、負担の分担を曖昧にしない

ある平日の夜、恵さんは義父から、翌日の通院に付き添ってほしいと頼まれました。その日は仕事の予定が詰まっており、休暇を取るのは簡単ではありません。

 

「明日は仕事があるので、付き添うのは難しいです。お義父さんから大輔さんに相談してもらえませんか」

 

そう答えると、義父は不満そうな顔をしました。

 

「家にいるんだから、それくらいできるだろう」

 

恵さんは言葉を失いました。家にいる時間があることと、いつでも対応できることは違います。仕事を調整し、家族の予定を組み替えてまで対応するのが当然だと思われていることに唖然としたといいます。

 

「お義父さん、こんなこと言いたくないのですが、私にも仕事と生活があります」

 

恵さんは、夫と義父を交えて話し合うことにしました。役割分担を明確にせず、負担のほぼすべてを背負っていては、仕事を辞めざるを得ない。そうなると収入面で厳しくなるが、それでもいいのか。仕事との両立を図るのであれば、何を変える必要があるのか、具体的に整理したい――。

 

そして、通院の付き添いは夫と恵さんで分担し、仕事の都合で難しい場合には別の方法を検討すること。買い物や日用品の補充も、気づいた人が対応するのではなく、担当を決めること。そして、義父自身でできることまで恵さんが引き受けないことを確認しました。

 

恵さんが伝えたのは、義父の世話をしたくないということではありません。

 

「家のこととなると、「女性がやるべき」という感覚――それがたまらなく嫌なんです」

 

国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』(2022年)によると、夫婦の家事分担割合で妻が80%以上を占めており、妻が正規雇用であっても約5割(49.4%)の世帯で妻が家事の80%以上を負担しているのが現状です。また同調査で「年老いた親の介護は家族が担うべきだ」に賛成する割合は30%台にとどまり、平日の平均家事時間も妻の247分に対し夫は47分と大きな乖離が見られます。

 

「家族だから」と曖昧にせず、互いの生活や仕事を継続するための具体的なルール作りが不可欠です。