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「近くに住めば助けられる」と勧めた73歳男性
「もう勘弁してくれ。毎週末、孫の面倒を見るのはきついよ」
東京都在住の田中茂さん(73歳・仮名)は、妻の洋子さん(71歳・仮名)と2人で暮らしています。65歳で会社を退職し、現在の年金収入は夫婦合わせて月29万円ほど。預貯金は約2,200万円あります。
生活に困っているわけではありませんが、将来の医療費や介護費用を考えると、気軽に使えるお金ばかりではありません。定年後は、妻と旅行に出かけたり、趣味を楽しんだりする時間を大切にしたいと考えていました。
ところが、最近は休日の過ごし方が変わってしまいました。原因は、近くに引っ越してきた娘の愛さん(39歳・仮名)一家。以前、娘夫婦は家賃の安い隣県に住んでいました。しかし、孫が生まれた際、茂さんは「子育ては大変だろう。近くにいれば何かあったときに助けられる」と、何度も引っ越しを勧めました。
娘夫婦は家賃が上がることを承知で、茂さん宅から徒歩で15分ほどのマンションに転居。現在、小学校1年生になる孫が保育園に通っていた頃は、発熱時の迎えや、娘夫婦の帰宅が遅くなる日の世話を、茂さん夫婦が引き受けてきました。当初は月に1回ほどだった休日の預かりも、愛さんが仕事に復帰すると、次第に増えていきます。
「今週の土曜日もお願いできる?」
そんな連絡が続き、気づけば毎週末のように孫を預かるようになっていました。食事を用意し、一緒に遊び、夕方に娘が迎えに来るまで面倒を見る。孫は可愛いものの、夫婦で出かける予定を変更することも増えました。
「連絡が来るたび、『またか……』と思うようになりました。孫との時間を素直に喜ぶことができなくなってしまったのです」
ある日、愛さんから「来月から毎週お願いできない?」と頼まれました。基本的に土曜日は出社になったというのです。しかし茂さんは断りました。
「毎週は無理だよ。俺たちにも自分たちの生活があるから」
すると、愛さんは困惑した様子で言いました。
「お父さんが近くに住めば助けられるって言ったから。だから家賃が高くなっても引っ越したのに」
茂さんは言葉に詰まりました。近居を勧めたのは自分です。娘夫婦が頼りにするのも理解できます。しかし、ここまでの頻度になると話は別です。