親の財産を相続することで、資産が大きく増える人もいます。一方で、一見大きな資産に見える財産であっても、実際相続をした人にとっては負の財産となることも……。事例を見ていきましょう。
父が資産1億2,000万円を遺してくれたが…「相続なんてするんじゃなかった」と64歳女性が後悔を口にする理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

不動産中心の相続に潜むリスク

国税庁『令和5年分 相続税の申告実績の概要』によると、相続財産の金額構成比において「土地」と「家屋」を合わせた不動産は財産全体の約37%と大きな割合を占めています。不動産は小規模宅地等の特例や貸付事業用宅地の評価減といった節税効果がある一方で、現金のようにわけづらく、すぐに支払いに使うことはできないという構造的な弱点を持っています。

 

地方都市の賃貸アパート相続において留意すべき主なリスクと対策を整理していきましょう。

 

まず、相続税の計算に使われる「路線価」や「固定資産税評価額」は、実際の市場で売れる価格(実勢価格)とは異なります。特に地方都市の築古アパートの場合、需要の低さや修繕リスクが懸念され、市場での売却価格が相続税評価額を大きく下回りやすくなるのです。

 

また、不動産オーナーである親が高齢化すると、物件の修繕や入居者管理が行き届かなくなり、空室率の上昇や老朽化の放置が進みやすくなります。十分な修繕積立金や管理体制がないまま相続が起きると、相続人が突発的な大規模修繕費用や設備交換費用を負担することにもなりかねません。

 

そもそも賃貸アパートの所有は、単なる資産保持ではなく「事業(経営)」です。管理会社との折衝、修繕の判断、空室対策など、経験のない遺族が突然オーナーになることで生じる精神的・時間的ストレスは予想を大きく超えたものとなります。

 

こうしたリスクに備えるには、被相続人(親)が健在なうちに、所有する不動産の収益性や将来的な維持にかかるコストを客観的に評価しておく必要があります。収益性が低く管理が困難な物件は生前に売却・整理して「現金化」しておく、あるいは信頼できる管理会社へ移管して長期的な修繕計画を立てておくなど、残される家族に経営負担や持ち出しのリスクを押し付けないための計画的な事前対策が求められるでしょう。

 

不動産の相続は一筋縄ではいかないケースも多いため、専門家を交えた資産整理を進めることが重要となります。

 

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