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「真面目に働いていれば老後は安泰」と言われていた時代だった
「ふざけるな! こっちは何十年も真面目に働いてきたんだよ」と憤るのは、東京都内の賃貸マンションで一人暮らしをする山田隆さん(67歳・仮名)。会社員として50年弱働き、現在に至ります。月収は手取りで月17万円ほど。そのほか、月15万円ほどの年金を受け取っています。
これまで、決して派手な暮らしをしてきたわけではありません。住宅を購入する余裕はなく、毎月の給料から生活費を払い、残ったお金を貯蓄に回してきました。
「給与から結構な額の税金やら保険料やら、引かれますよね。高いなぁ――と思いながらも、将来、年金をもらえるようになれば、少なくとも生活のために必死で働く必要はなくなると思っていました。贅沢がしたかったわけじゃない、普通に暮らせれば、それでよかったんです」
隆さんが若手会社員だったころ、「真面目に働き、真面目に年金保険料を払っていれば、老後は安泰」といった風潮だったといいます。隆さんもそれを信じて、ただ真面目に生きてきたそうです。しかし「50代になるくらいには『年金だけでは老後は怪しい』と言われだして。50手前ですから、もう遅いですよ」と憤ります。
実際、年金生活が始まっても、仕事を辞めることはできませんでした。食料品や日用品の値上がりが続き、光熱費などの支払いもあります。年金だけで生活費を賄おうとすると、貯蓄を取り崩さないといけないのは確実です。
「貯蓄といっても、大した額ではありません。年金だけだったら、あっという間に破綻ですよ」
思い描いていた安泰な老後はどこに―― そんな隆さんに、ある月、賃貸住宅の管理会社から通知が届きます。次回の契約更新に合わせ、家賃を引き上げたいという内容でした。
隆さんが住む部屋の家賃は月7万5,000円。値上げの提示額は月8万3,000円で、8,000円の増額です。
「年間にすると9万6,000円です。簡単に出せる金額じゃありません。給料が増えたわけでも、年金が急に増えたわけでもないのに、家賃が上がるなんて……」
総務省の「消費者物価指数」によると、2026年8月の全国の総合指数は前年同月比1.9%上昇しました(生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数)。生鮮食品を除く総合指数も1.7%の上昇です。