NISAをきっかけに、投資は一般的な資産形成の手段として周知されるようになりました。しかし一方で、非課税枠を早く埋めるために生活を極端に切り詰める「NISA貧乏」も問題視されています。本記事では事例を通じて、今の生活を尊重しながら将来に備えるバランスの取れた資産形成について、CFPの山﨑裕佳子氏が解説します。
「新NISA?やめておけ」3億円の資産を築いた88歳祖父が一喝…手取り26万円から月10万円を投資に回す26歳孫に〈待ったをかけたワケ〉【CFPが解説】
手取り26万円・26歳会社員、NISAの複利効果を知り積立額を増やす決断
ユウキさん(仮名・26歳)は、社会人4年目の会社員。手取り月収は約26万円、家賃9万円のワンルームマンションで一人暮らしをしています。
仕事にも一人暮らしにも慣れてきたころ、同期10人で飲み会をする機会がありました。新NISAがスタートする前の時期でしたが、話題はいつしか「投資」の話に。同期の何人かはすでにNISAで投資を始めているとのことで、「自分もやってみようかな」と興味を持ったユウキさんは、さっそくネット証券でNISA口座を開設しました。
個別株よりも投資信託のほうが初心者には始めやすいと聞き、毎月3万円を積み立てることにしました。
実際に投資を始めてみると、これまであまり関心のなかった株価や金利、為替などのニュースにも自然と目が向くようになりました。投資をきっかけに、世界経済について調べることも増えていったのです。
そして、NISAの複利効果について知ったことをきっかけに、ユウキさんは積立額を増やす決断をします。
気づけば「NISA貧乏」に…非課税枠を早く埋めるために削った生活費
「NISAでの資産形成は長期運用が有利」と考え、毎月の積立額を3万円から10万円へ増額。さらに年2回のボーナスから15万円ずつ追加投資することにしました。年間の投資額は150万円。現在のペースで投資を続ければ、40歳を迎える前にNISAの生涯投資枠1,800万円を埋め切れる計算です。
「将来のために、できるだけ早く資産を作りたい」
そんな思いから立てた目標でした。しかし、手取り月収約26万円のユウキさんにとって、毎月10万円の投資は決して小さな負担ではありません。
家賃9万円に加え、毎月10万円をNISAに回すと、残るお金は7万円。そこから水道光熱費、通信費、食費、交際費など、生活に必要な支出を賄わなければなりません。
そこでユウキさんは、支出を大幅に見直すことにしました。まず、週3回ほど利用していた外食をやめて自炊中心の生活に。ランチ代も節約するため、毎朝おにぎりを作って持参します。その結果、食費は月7万円から3万円まで減りました。
さらに、通っていたスポーツジムを退会して月1万円を節約。カフェに立ち寄る回数も減らし、通勤時には水筒を持参するようになりました。同僚や上司から飲みに誘われても、断ることが増えました。
こうして生活費を切り詰めることで、何とか毎月10万円のNISA積立を続けられる家計を作ったのです。
ユウキさんの支出の変化
家賃 :9万円
水道光熱費 :1万円
食費 :7万円→3万円
通信費 :1万円→0.5万円
ジム会費 :1万円→0円(退会)
交際費・雑費 :4万円→2.5万円
積立投資 :3万円→10万円