相続で問題になりやすいのが、「遺産がいくらあるのか」という財産の全体像。預金、不動産、生前の出金や贈与など、被相続人の財産をすべて把握できないまま遺産分割の話し合いが始まると、相続人同士の認識が食い違い、トラブルに発展することがあります。預金残高をめぐって親族間の対立が生じたケースから、相続で確認しておきたいポイントを考えます。
「はぁ!? 警察呼ぶよ」21歳孫、遺産分割協議書に「判を押せ!」 と迫る2人の伯母に激怒…遺産「2,000万円消失」の衝撃 ※写真はイメージです/PIXTA

まずは2,000万円の動きを確認する

現在、翔太さんは祖母の預金について、金融機関に取引履歴を確認できないか問い合わせています。

 

通帳に記載された現在の残高だけでは、そこに至るまでのお金の動きまでは分かりません。大きな出金があったとしても、それだけで不正な使途だったと判断できるわけではなく、医療費や生活費、本人による贈与など、さまざまな可能性があります。

 

だからこそ、翔太さんは「2,000万円が消えた」と結論を出す前に、まず事実を確認したいと考えています。

 

「祖母が何に使ったのか、誰かが引き出したのか、それが分からないと話が進まないと思っています」

 

では、祖母が「5,000万円ある」と話していた預金と、実際に確認された約3,000万円。その差額2,000万円はどうなったのでしょうか。現時点では、その行方はまだ分かっていません。

 

遺産分割協議は、相続人全員が合意して成立します。いったん合意して遺産分割協議書に署名・押印すれば、その内容に沿って手続きが進むことになるため、内容に疑問がある段階で急いで合意しないことも重要です。

 

話し合いで解決できない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停を利用する方法もあります。調停では、相続人それぞれの主張を確認しながら、遺産の内容や分け方について合意を目指します。

 

翔太さんは今も、祖母の預金の動きを確認することを優先しています。

 

「伯母は僕が子どもだと思ってバカにしているんですよ。お金が欲しいというよりも、バカにされたままにはいかない、という気持ちが大きいです」

 

最高裁判所『司法統計』によると、家庭裁判所で新たに受け付けられた遺産相続(遺産分割調停)の事件数は、2025年が1万7,297件。160万件ほどの相続案件のうち、1.7万件ほどが、家庭裁判所に解決を求める形で揉めています。

 

相続では、財産がどこに、いくらあるのかを把握すること自体が難しいケースも少なくありません。家族の誰かが管理していた預金や不動産などが、相続を機に問題になることもあります。相続人同士で情報を共有し、財産の内容を生前から整理しておくことが、こうしたトラブルを防ぐ一歩になります。