相続で問題になりやすいのが、「遺産がいくらあるのか」という財産の全体像。預金、不動産、生前の出金や贈与など、被相続人の財産をすべて把握できないまま遺産分割の話し合いが始まると、相続人同士の認識が食い違い、トラブルに発展することがあります。預金残高をめぐって親族間の対立が生じたケースから、相続で確認しておきたいポイントを考えます。
「はぁ!? 警察呼ぶよ」21歳孫、遺産分割協議書に「判を押せ!」 と迫る2人の伯母に激怒…遺産「2,000万円消失」の衝撃 ※写真はイメージです/PIXTA

「5,000万円ある」と聞いていた祖母の遺産

「祖母からは、5,000万円ほど預金があると聞いていました。実際に通帳も見せてもらっています」

 

そう話すのは、21歳の大学生、山田翔太さん(21歳・仮名)です。

 

翔太さんによると、祖母は70代前半で病気が見つかり、医師から「あと6ヵ月ほど」と告げられていました。そのころ、祖母から自分の財産について聞かされたといいます。

 

「父が亡くなっているので、僕が父の代わりに相続することになる、と祖母から言われました。伯母2人と分けて、母のためにも使ってほしい、と」

 

翔太さんの父親は、翔太さんが小学生のころに亡くなっています。その後、祖母は翔太さんと母親を支えてきました。だからこそ、祖母から財産について話をされたときも、翔太さんは特別に疑うことはなかったといいます。

 

祖母が亡くなったあと、翔太さんは伯母2人と遺産分割について話し合うことになりました。そこで、翔太さんが確認したのが祖母の預金です。

 

「通帳を見せてもらったら、残高が3,000万円くらいだったんです。でも、祖母からは5,000万円くらいあると聞いていました」

 

翔太さんにとっては、2,000万円の差が気になるのは当然でした。

 

もちろん、祖母が生前に預金を使っていた可能性もあります。ただ、翔太さんは「祖母は入院していたので、そんなに大きなお金を使う機会があったのか」と疑問を持ったといいます。

 

さらに気になったのが、その後の伯母とのやり取りでした。

 

「伯母からは、とにかくここに判を押して、と言われました。でも、2,000万円について説明がないままでは、僕は納得できませんでした」

 

翔太さんは、遺産分割協議書への署名・押印を求められましたが、応じませんでした。

 

「『はぁ!? 警察を呼びますよ』と言いました。どこかに2,000万円が消えてしまったんですよ。そんな曖昧な状態で、判を押せと迫るのは脅迫ですよ」

 

国税庁によると、2024年に亡くなった人は約161万人。このうち相続税の申告書を提出した被相続人は約16万7,000人で、課税割合は10.4%でした。相続税がかからないケースでも、遺産を誰がどのように引き継ぐのかを家族間で決める場面はあります。

 

翔太さんが問題にしているのは、伯母を疑っているということだけではありません。

 

「祖母が残したお金なら、どこにいくらあるのかを確認してから分けるべきだと思っています。何も分からないまま判を押すことはできませんでした」