世帯の子や孫の喜ぶ顔を見たい一心で続けてきた支援や交流も、成長とともにすれ違いが生じるケースは少なくありません。世代間の価値観のギャップから抱く葛藤と、シニア期において家族と無理のない「適度な距離感」とは。事例を見ていきましょう。※事例の登場人物はすべて仮名です。
「孫に会うのは、もうやめることにしました」年金16万円・66歳祖母、連休中の虚無で悟った“いままでの距離感の限界” (※写真はイメージです/PIXTA)

シニア世代と家族の「距離感」

内閣府が公表した『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』によると、高齢者が日常生活で家族や知人から頼られている内容として、「子や孫の世話」を挙げた人は26.0%でした。孫が幼少期の段階では祖父母による手厚い世話や援助は喜ばれるものの、孫が思春期・青年期へと成長するにつれて行動範囲や価値観が広がり、祖父母に求める役割や距離感は変化していきます。この変化に気づかず、幼少期と同じ感覚で一方的に尽くし続けようとすると、心理的な摩擦や溝が深まる原因となることも。

 

また、年金という限られた収入のなかで、孫へ過度なお金を使い続けることは、祖父母自身の老後資金を圧迫する大きなリスクを伴います。自身の生活費や老後の備えを削ってまで家族へ尽くした結果、精神的な見返りも得られない状況に陥ると、心身の健康や生活の安定を害することになりかねません。

 

家族以外の社会関係に視点を向けることも大切です。同調査における「近所の人との付き合い」についての項目を見ると、「会えば挨拶をする」と回答した人が84.6%、「外でちょっと立ち話をする」が61.3%に達しています。その一方で、親しくしている友人や仲間が「ほとんどいない」と答えた人は12.6%、「全くいない」と答えた人は3.5%存在しています。

 

家族や孫だけに人生の楽しみや存在価値を依存してしまうと、関係性が変化した際のダメージは大きくなりがちです。家族とのあいだには、過度な期待や負担をかけない適度な距離感を保ちつつ、近所付き合いや個人の趣味など、自分自身の生活基盤やサードプレイスを別で構築していく必要があるでしょう。

 

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