(※写真はイメージです/PIXTA)
子どもが手を離れたあとの熟年離婚
厚生労働省『令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況』によると、同居期間が20年以上の夫婦による「熟年離婚」件数は年間約3万8,000件で推移しており、離婚全体に占める割合は増加傾向にあります。子育てという共通の役割を終えた際、夫婦間の精神的な絆が失われている家庭において、一方が離婚に舵を切るケースは珍しくないようです。
専業主婦期間が長い女性が熟年離婚を検討する際、最大の懸念となるのが離婚後の経済基盤です。この点において知っておくべき権利として「年金分割」と「退職金の財産分与」が挙げられます。
厚生労働省『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金(第1号)の受給権者平均月額は全体で14万6,429円ですが、男性平均(約16.7万円)に対し、専業主婦期間の長い女性平均(約10.9万円)は低い水準に留まります。しかし「離婚時年金分割制度」を活用することで、婚姻期間中の夫の厚生年金記録(標準報酬)を最大50%まで分割して受給権を得ることが可能です。
また、本事例のように夫が定年前でまだ退職金を受け取っていない段階であっても、将来退職金が支払われる蓋然性が高い場合には、婚姻期間(同居期間)に対応する部分が財産分与の対象として認められます。
一般的に、未支給の退職金に対する財産分与額は以下の計算式を用いて算出されます。
たとえば、仮に今離婚した場合の退職金見込額が2,000万円、勤続年数30年のうち同居期間が25年であれば、対象となる割合(25/30=83.3%)をかけた1,667万円の折半、約833万円相当を財産分与として受け取る権利が発生します。
自身が法的に主張できる年金分割や退職金を含む財産分与の内容を正しく把握し、将来の収入計画を立てたうえで手続きを進めることで、離婚という一つの選択をした際、自立した人生を守るためのアプローチとなるのではないでしょうか。
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