(※写真はイメージです/PIXTA)
23年経った今でも
「このタイミングを逃したら、一生この人と過ごすことになる。今しかないと思いました」
都内在住のアサミさん(52歳)は、結婚25年目の節目に夫へ熟年離婚を切り出しました。
アサミさんと夫が出会ったのは20代半ばのころ。同じ会社の上司だった夫から猛アプローチを受け、交際を経て結婚。結婚にあたっては「家庭に専念してほしい」という夫の強い希望があり、アサミさんは仕事を辞めて専業主婦となりました。
夫婦のあいだに亀裂が入ったのは、結婚して2年目、23年前のことでした。アサミさんが第一子となる娘を妊娠している最中に、夫の浮気が発覚したのです。離婚を考えたアサミさんでしたが、夫は「二度としない」と猛反省する様子を見せました。これから生まれてくる我が子から父親を取り上げるのはかわいそうだという思いもあり、アサミさんは苦渋の決断で思いとどまったのです。
それからの夫は態度を改めたのか、家庭を第一に考え、アサミさんや娘に対して非常に優しく接するようになりました。
月日が流れ、娘が小学校中学年になり、子育ての手が少し離れた時期のことです。アサミさんは「パートでも時短でもいいから、もう一度働きたい」と夫に相談しました。しかし、夫は難色を示します。
「自分は子どものころに鍵っ子で寂しい思いをした。娘に同じ思いをさせたくないから、家にいて家族を守ることに専念してほしい」
何度か口論にもなったものの、娘の成長を誰よりも近くで見届け、小さな変化にも気づいてあげたいという思いから、夫の言葉に納得する形で、アサミさんは専業主婦であり続けることに。
それからさらに時間が過ぎ、一人娘が無事に大学を卒業して社会人となりました。アサミさんは再び「働きたいな」と思ったものの、専業主婦の生活を長年続けてきたこともあり、「今さら社会に出て働くなんて無理かもしれない」という不安も交錯していました。
それでも「大好きな本に関わる仕事ならできるかもしれない」と考えたアサミさんは、今度は夫に無断で近所の図書館のパート募集に応募。長年の就業ブランクがあったため不採用を覚悟していましたが、結果は採用。しかも65歳まで長く更新して働ける条件でした。
自立して自分の収入を得られる道が開け、娘も無事に育て上げた――。結婚25年目の銀婚式を迎えたこのタイミングこそが、自分の人生を取り戻す最後の好機だとアサミさんは確信しました。
帰宅した夫に向かって、アサミさんは冷静に離婚届を差し出しました。思い返すのは、23年前の裏切り。反省して優しくなった夫に対し、表面上は波風を立てずに過ごしてきたアサミさんでしたが、胸の奥に燻り続けていた思いがあったようです。
「夫は反省して優しくなりましたし、生活に不自由はありませんでした。でも、私は今でも23年前の裏切りを許せなかったのだと思います」