(※写真はイメージです/PIXTA)
熟年離婚がもたらす経済的のリスク
厚生労働省『令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況』によると、同居期間が20年以上の夫婦による「熟年離婚」の件数は年間3万8,000件を超えており、全離婚件数に占める割合も高水準で推移しています。また、内閣府『令和7年版高齢社会白書』によると、65歳以上の高齢者人口に占める一人暮らしの割合は増加傾向にあり、令和7年時点で男性18.3%、女性25.4%に達すると推計されています。
ワタルさんも懸念していたように、熟年離婚後の生活環境の変化に伴い、以下のような直接的な経済的負担が発生します。
財産分与と年金分割の手続き
婚姻期間中に形成した預貯金や持ち家などの資産は原則として折半の対象となります。さらに、公的年金についても「年金分割制度」に基づき、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)が最大50%の範囲で分割されるため、夫側の将来的な年金受給額は大きく減額されます。
単身生活における二重コスト
一つの世帯で暮らす場合と比較して、離婚後は新居の敷金・礼金、家賃、光熱費などの固定費がそれぞれ独立して発生するため、家計全体の効率は低下します。
厚生労働省『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金(第1号)受給者の平均月額は全体で14万6,429円(男性約16.7万円、女性約10.9万円)となっています。ここから年金分割が適用されれば、夫側の実際の手取り受給額はさらに目減りすることになります。
また、総務省『家計調査(2025年)』における65歳以上の単身無職世帯のデータを参照すると、月平均の可処分所得は約11.8万円であるのに対し、日常の消費支出は月平均約14.8万円となっており、毎月約3万円の不足が生じる構造となっています。
十分な退職金の残りや手元資金がないまま熟年離婚へ踏み切ると、年金収入だけでは生活費を賄えず、老後資金が急速に枯渇するリスクを伴います。精神的な解放感や居心地を優先する場合であっても、離婚後の固定費や将来の医療・介護コストを見据えた現実的な資金シミュレーションを行っておくことが不可欠です。
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