年金を受け取っていて仕事もしているのに、老後資金が不安――。そのような人のなかには、「子どもに貸したお金が返ってこない」という問題を抱えているケースがあります。住宅購入資金として長男に1,000万円を貸している70代夫婦の事例から、子どもにお金を貸すリスクについて見ていきましょう。
長男夫婦に1,000万円を貸した70代夫婦…5年経っても1円も返ってこない状況に激怒し、返済を約束させた「凄い一言」
長男夫婦の住宅購入資金1,000万円を立て替え
町田かおるさん(仮名・70歳)は、夫のタツヨシさん(仮名・72歳)と二人暮らしをしています。タツヨシさんは介護士としてフルタイムで働いており、かおるさんは近所のスーパーで週4日・1日4~5時間のパート勤務をしています。
夫婦合わせて月22万円ほどの年金があり、それに上乗せされて毎月の給料が振り込まれる――。一見すると、余裕のある暮らしをしているように感じるかもしれません。しかしかおるさんには、年金と給与所得の両方があっても老後の不安がぬぐえない理由がありました。
それは、かおるさんの長男・マサキさん(仮名・36歳)のことです。
8年前、マサキさんはかおるさんの家から徒歩10分圏内の場所にマイホームを建てました。マサキさんの当時の預金額は、夫婦合わせて約600万円。そのうちの500万円ほどをマイホーム購入の頭金として使う予定でした。しかし、その直後にマサキさん夫婦に子どもができたのです。
マサキさんの妻は2か月後に産休に入ることになりました。産休・育休中は給付金が支給されるものの、手取り収入は大幅に減ってしまいます。さらに、妊婦健診費や出産・入院費用、ベビー用品をはじめとする出産準備費用もかかることを考えると、マサキさんは「手元の貯金を頭金でほぼ使い果たしてしまうのはあまりにも危険だ」と強い焦りを感じました。
そこでマサキさんは母親のかおるさんに事情を説明し、「住宅購入費用の頭金を貸してほしい」と頼み込みます。
かおるさんは「孫ができるのはおめでたいことなんだから、何とか力になってあげたい」と前向きに受け止め、頭金を立て替えることにしました。夫のタツヨシさんも、かおるさんが決めたことならと了承してくれました。
かおるさんが提示された金額は1,000万円。マサキさんがもともと支払う予定だった頭金は500万円なので、当初より500万円も多い金額を立て替えることになります。
「頭金を1,000万円入れて借入額を減らせば、ローンの適用金利が下がって毎月の返済負担も減らせる。保証料や手数料も安くなるし、返済期間も短縮できるんだ。自分たちの貯金は今後の育児費用として残しておきたいから、1,000万円を貸してほしい」
その言葉に納得したかおるさんは、マサキさんに1,000万円を貸すことにしました。