「お盆は家族みんなで集まってごはんを食べる」――毎年当たり前のように繰り返されているイベントがなくなると、普段は気にならないことが気になってしまうものです。思いがけない事故によってお盆を一人で過ごすことになった松永サナエさん(仮名・66歳)の事例を見てみましょう。
共働きの息子夫婦を支えるために…週3日で孫のお世話
松永サナエさん(仮名・66歳)は、関東近郊の一軒家で一人暮らしをしています。夫は10年前に亡くなっており、現在は老齢年金と遺族年金を合わせて月16万円(手取りで約15万円)です。サナエさんには2人の息子がおり、次男のモトキさん(仮名・36歳)はサナエさんの自宅から車で30分の距離に住んでいます。
ハウスメーカーで営業職として働くモトキさんは、5年前に同じ部署のアヤカさん(仮名・30歳)と社内結婚。現在は4歳になったばかりのヒヨリちゃんと3人で暮らしています。アヤカさんは時短勤務をしていますが、状況によっては仕事がすぐに抜けられず、ヒヨリちゃんの保育園のお迎えが遅くなってしまうことも。そんなときは、サナエさんが代わりにお迎えに行くこともあります。
「保育園のお迎えが遅くなりそう」
「ヒヨリの熱が下がらなくて心配」
「体調が悪いからヒヨリの面倒を見てほしい」
息子夫婦から連絡をもらうたびに駆けつけているうちに、気づけば週3日のペースでモトキさん宅に通っていました。
ヒヨリちゃんを保育園から迎えに行ったあとは、着替えの手伝いやおやつの準備、そして晩ごはんの支度をします。サナエさんがいるときはモトキさんもアヤカさんも19時ごろに帰宅するのが日常になっていました。冷蔵庫にあるものを勝手に使わせてもらっていますが、食材が足りないことも多く、野菜や肉、魚などはサナエさんの自腹で購入するケースがほとんどです。
総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)」によると、65歳以上の高齢単身無職世帯の平均可処分所得(手取り額)は、約11万8,465円。サナエさんの可処分所得は約15万円のため、平均よりもゆとりはあります。モトキさん家族の食材の購入に月2万円~3万円を使っていますが、サナエさん自身もついでに食事をしていくため、大きな負担には感じていませんでした。
盆暮れ正月はモトキさん宅に集まるのが恒例行事
モトキさん家族も、サナエさんに頼りっぱなしなわけではありません。
ヒヨリちゃんの誕生日やクリスマス、盆暮れ正月など、イベントがあるたびにサナエさんを自宅に招き、ごちそうを振る舞ってくれるのです。ヒヨリちゃんのためにプレゼントやポチ袋を持参するサナエさんを気遣ってか、正月には「日頃のお礼」としてまとまったお金を包んで渡してくれるのです。
言葉だけでなく、目に見えるかたちで感謝を伝えてくれる――それがわかっているので、サナエさんは気持ちよく息子夫婦のサポートができていたのです。