(※写真はイメージです/PIXTA)
「こんなに減ってたか?」夫からの一言
東京都内に暮らすヒロコさん(72歳・仮名)は、74歳の夫・ノブオさん(仮名)と2人暮らし。夫婦ともにすでに仕事を退き、年金収入は合わせて月26万円ほどです。住宅ローンは完済済み。退職時には、退職金を含めて3,000万円近い金融資産がありました。
「贅沢さえしなければ、老後はなんとかなるだろう」
夫婦とも、そう考えていたといいます。ところが最近は、スーパーに行けば食品が高くなり、電気代などの負担も気になるようになりました。
実際、総務省「消費者物価指数」によると、2025年平均の総合指数は前年比3.2%上昇。なかでも食料は6.8%上昇しています。そこでノブオさんは、これを機に老後資金をあらためて確認しておこうと、預貯金や保険などを整理することにしました。通帳を見比べていたノブオさんは、預貯金の残高を見て首をかしげました。
「こんなに減ってたか?」
車の買い替えや自宅の修繕、夫婦で出かけた旅行など、まとまった支出には心当たりがあります。それでも、ノブオさんが考えていた以上に預貯金が減っていました。過去の入出金を確認していくと、ヒロコさんが何度もまとまったお金を引き出していることに気づきます。
「このお金、何に使った?」
そう聞かれたヒロコさんは、ようやくその使い道を明かしました。
40歳の娘に渡し続けていたお金
お金の行き先は、40歳になる一人娘・マナミさん(仮名)でした。マナミさんは会社員の夫と小学生の子ども2人を育てる共働き家庭。世帯年収は約800万円です。決して収入の低い家庭ではありません。しかし、住宅ローンに加え、子どもの教育費や習い事など、何かと出費の多い時期でもあります。
最初の大きな援助は、マナミさん夫婦が住宅を購入したときでした。ヒロコさんは「少しでもローンを減らしたほうが楽でしょう」と200万円を渡しました。その後も、2人目の孫が生まれたときに50万円。車を買い替えることになったと聞けば100万円。
それだけではありません。
物価高で生活が大変だという話を聞くと、5万円、10万円と渡すようになり、ここ数年は「子どもたちに何か買ってあげて」と数万円を振り込むこともありました。
一つ一つは、ヒロコさんにとって「娘を助けるためのお金」でした。ところが改めて計算してみると、こうした援助は数年間で500万円近くに膨らんでいました。そして、その多くをノブオさんは知りませんでした。