結婚や出産、住宅購入のたびに保険を追加し、気づけば毎月数万円を支払っている家庭は少なくありません。しかし保障が充実していても、保険料の負担によって教育費や老後資金を貯められなければ、家計全体の安心にはつながりません。40代は健康状態の変化も気になるため、むやみな解約も避けたいところです。本記事では、必要な保障を残しながら固定費を適正化する方法をAFPの武田拓也氏が解説します。
今解約したら損する!「月8.5万円の保険料」で家計破綻寸前の貯金50万円・40代夫婦。保険見直しに猛反発した42歳妻の〈思い込み〉【FPが解説】
「今解約したら損する!」保険の見直しをめぐり、勃発した夫婦喧嘩
家に戻ったヒロキさんは、危機感から妻のユカさんに保険の見直しを切り出しました。
「FPさんに相談したら、うちの保険料は高すぎるって言われたんだ。毎月8万5,000円も払っていたら教育費も老後資金も貯まらない。保険をいくつか解約しようと思う」
しかし、「今解約したら損する。解約後に病気になったらどうするのか」と、ユカさんは納得がいきません。万が一の備えがなくなる不安や、これまで支払ってきた保険料が無駄になるという理由から猛反発しました。
「このままじゃ老後資金が貯められないんだぞ!」
ヒロキさんも引き下がりません。家計のギリギリの状況を指摘すると、ユカさんは「それはあなたの無駄遣いが多いからでしょ!」と、日頃のお金の使い方に矛先を向けました。
「俺だって家族のためにやってきたんだ!」
互いに家族を思うがゆえの主張でしたが、感情的な言い合いは平行線をたどり、かつてないほど激しい夫婦喧嘩に発展してしまいました。
【FPが解説】40代家計の落とし穴…なぜ「保険料の払いすぎ」が起きる理由
ヒロキさん夫婦のような状態は、決して特別な例ではありません。40代の家計において保険料が膨らみやすい背景には、いくつかの構造的な要因があります。
1. 「保障(備え)」と「貯蓄(資産形成)」の混同
保険を検討する際には「保障を得ながら貯蓄もできます」という担当者のトークで、貯蓄型保険(終身保険、養老保険、外貨建て保険など)が勧められることがあります。貯蓄型保険は解約返戻金や運用益を確保するため、純粋な掛け捨て保険に比べて保険料が高くなります。
その結果として、貯蓄型保険に加入すると「毎月の保険料負担が多くなり、手元の流動性のある現金(預貯金)が増えない」という状況に陥ります。
2. 公的保障制度の理解不足
日本は世界的に見ても公的保障が手厚い国です。
高額療養費制度:医療費が1ヵ月で高額になっても、一般所得者であれば自己負担額は月8万円〜9万円程度(+食事代や差額ベッド代)に抑えられます。
遺族年金:会社員であれば、万が一の際には残された家族に「遺族基礎年金」+「遺族厚生年金」が支給されます。
傷病手当金:病気やケガで働けなくなった場合、健康保険から給料の約3分の2が最長1年6ヵ月支給されます。
公的保障の手厚さを知らずに民間の保険だけで100%カバーしようとすると、過剰な保障となり保険料が跳ね上がってしまいます。
3. 40代ならではの「健康不安」による心理的葛藤
20代〜30代前半と異なり、40代になると持病が出始めたり、定期健診で再検査の項目が増えたりします。「今解約すると、もう新しい保険に入れないかもしれない」という恐怖心から、見直しへの一歩を踏み出せなくなってしまう心理的なハードルが存在します。