親の一人暮らしに不安を覚え、「見守りのある高齢者住宅に入れば安心」と考える家族は少なくありません。しかし、バリアフリーで安否確認がある「サ高住」で「安全に暮らす」ことと、「誰かと楽しく会話して暮らす」ことは別問題です。本記事では、母親の安全を思ってサ高住への入居を勧めたものの、思いがけない形で親の「孤独」に気づかされた息子の事例をもとに、元介護施設職員でFPの武田拓也氏が、失敗しない高齢者住宅選びについて解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「母さん、どうしてここに!?」サ高住に入居させたはずの82歳母が、タクシーで61歳息子宅へ突然現れたワケ【元介護施設職員のFPが解説】
82歳母の転倒…「一人暮らしが怖い」と痛感した61歳息子
タマコさん(仮名・82歳)は、父親を亡くしてから約8年間、郊外の戸建て住宅で一人暮らしを続けていました。多少足腰は弱っていたものの、買い物や料理、入浴などは自分でできます。
会社員の息子・サトシさん(仮名・61歳)も車で1時間ほどの場所に住んでおり、週末には様子を見に行っていました。
ところがある日、タマコさんが自宅の廊下で転倒します。幸い骨折はしませんでしたが、腰を強く打ってしまいしばらく動けなくなっていました。
「もし頭を打っていたら」「誰にも気づいてもらえなかったら」と、急にサトシさんはタマコさんの一人暮らしが怖くなりました。
「ここなら安心」…長年暮らした自宅を離れて「サ高住」へ
そこでサトシさんは、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」を探し始めました。
見学した施設は比較的新しく、廊下には手すりがあり、居室には緊急通報設備もあります。スタッフによる安否確認もあり、食事も希望すれば提供してもらえます。
サトシさんは「ここなら何かあっても誰かが気づいてくれる。もう心配しなくていい」と安心感を覚えました。
「迷惑をかけるより、そのほうがいいね」
タマコさん自身も入居を了承し、こうして長年暮らした自宅を離れ、サ高住での新生活が始まったのです。