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「安心して暮らせるはず」の住み替えで始まった想定外の毎日
吉田誠さん(75歳・仮名)と妻の幸子さん(73歳・仮名)は、夫婦合わせて月24万円の公的年金で暮らしています。
2人が30代のころに建てた一戸建ては、すでに築50年。以前は気にならなかった庭の手入れも、年齢を重ねるにつれて負担になります。屋根や外壁の修繕、冬場の除雪など、自宅を維持するための作業も少なくありません。
「この先、どちらかが体を悪くしたら、家の手入れまでできなくなると思いました」
そう考えた夫婦は、長年暮らしてきた家を売却することにしました。売却資金をもとに選んだのが、見守りサービスや食事サポートのあるサービス付き高齢者向け住宅、いわゆるサ高住です。
サ高住は、高齢者が暮らしやすいバリアフリー構造などに加え、少なくとも「状況把握(安否確認)」と「生活相談」のサービスを提供する賃貸住宅。介護施設とは異なり、基本的には自宅として生活しながら、必要な支援を受けられる仕組みになっています。
夫婦が魅力を感じたのも、まさにそこでした。これまでの家よりも管理の負担を減らせる。何かあったときにも気にかけてもらえる。
「これなら、子どもたちにも心配をかけずに済む」
そう考えてサ高住へと住み替えた夫婦でしたが、事態は想定とは異なる方向へ進みます。
国土交通省『令和5年住生活総合調査』によると、借家への住み替え意向がある65歳以上の夫婦世帯において、住み替え先としてサ高住などの「高齢者対応型住宅」を希望する割合は27.1%。また、持ち家に住む65歳以上の夫婦世帯が実際に住み替えた理由でも「高齢期の住みやすさ」(8.4%)が挙げられています。
このように管理負担の解消や支援機能を期待して住み替えを行う世帯が存在する一方で、入居後の生活ペースや対人関係の距離感において、事前のイメージとのギャップが生じるケースもうかがえます。
吉田さん夫婦も同様でした。入居してしばらくすると、2人の間に少しずつ違和感が生まれていったといいます。