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「家族葬なら安い」と決めていた
「できるだけ静かに送りたいと思いました」
東京都内で夫と高校生の娘と暮らす佐藤由美さん(45歳・仮名)。
母の加藤陽子さん(72歳・仮名)は、夫に先立たれてからは一人暮らしを続けていました。年金は月10万円程度。そのなかで生活できるようにと、質素倹約を心がけて暮らしていたそうです。
そんな陽子さんが自宅で倒れて救急搬送。息を引き取りました。
そのあとは、バタバタです。
医師による死亡宣告のあと、死亡診断書の発行を受けます。
看護師がエンゼルケアを行ってから、霊安室に移動。長く滞在できないので、葬儀社を決める必要がありました。
「葬儀って、規模が大きくなればお金もかかるイメージで、100万円も200万円も出すことはできない。だから家族葬にしようと決めました。家族葬なら100万円以下でできると思ったので」
病院に出入りしている、家族葬を扱う葬儀社を紹介してくれました。提示されたプランは約70万円でした。
「これなら大丈夫だと思いました」
ところが、打ち合わせを進めると、プランに含まれない項目がたくさんあることが分かります。
安置日数が延びれば、その分の費用がかかる。
火葬場の利用料も別。
料理や返礼品も人数によって変わる。
宗教者への謝礼も必要になる場合がある。
そのたびに説明を受け、由美さんは追加するかどうかを決めていきます。そのときの難しさを、由美さんは振り返ります。
「母を見送る葬儀。よほどのことではない限り『これは要りません』って言いにくくて……」
葬儀の準備には時間がありません。
国民生活センターも、葬儀は高額になる一方、十分に検討する時間がなく、サービス内容や費用項目が複雑で、死別直後には冷静な対応が難しいことから、トラブルになりやすいと注意を促しています。契約前には、何が料金に含まれ、何が別料金なのかを確認する必要があります。
由美さんも、契約書を見ながら説明を聞いていました。ただ、母を亡くした直後。親族への連絡。死亡届の手続き。勤務先への連絡。娘の世話。葬儀の日程調整――。
「見積書をじっくり読む時間もなく、そのような精神状態でもありませんでした」